パソコンを再起動しても前回のアプリとフォルダーを自動表示する設定
はじめに:3つの方法の違いと注意
作業を中断して再起動したあと、前回の状態に近い形で作業を再開したい人は多い。ここでは大きく三つのやり方を紹介する。サインイン時の再起動復元、スタートアップでの自動起動、フォルダーウィンドウの復元である。目的と動作の違いを理解すると、無駄な設定を増やさずに済む。
最初に注意点をまとめる。全てのアプリが前回の状態を完全に復元できるわけではない。ブラウザーのシークレットウィンドウのように、仕様として復元しないものもある。ネットワーク上のフォルダーや取り外し可能なドライブは、接続状況で復元に差が出ることがある。会社や学校の端末では、管理者が一部の設定を無効にしている場合がある。
以下の表で三つの方式を比べる。
| 方式 | 主な対象 | できること | できないことの例 | 用途の目安 |
|---|---|---|---|---|
| サインイン時の再起動復元 | 一部のアプリ(主にMicrosoft製や対応アプリ) | 前回終了時に開いていたアプリを自動で再度開く | 非対応アプリの復元、アプリ内の細かな作業状態の完全再現 | まず試す基本の方法 |
| スタートアップでの自動起動 | 任意のアプリ | Windowsの起動と同時に指定アプリを必ず起動 | 前回のタブや編集中データの復元までは保証されない | 毎回立ち上げたい常用アプリに便利 |
| フォルダーウィンドウの復元 | エクスプローラー | 再起動前に開いていたフォルダーウィンドウを再表示 | 閉じたタブやネットワーク切断時の場所の復元 | ファイル作業の続きに有効 |
このページでは、Windows 11 の画面で順に説明する。どちらの方法でも、大事なファイルは事前に保存することをおすすめする。
管理者権限は必要?
多くの場合は不要だが、組織のポリシーで設定が非表示や無効になっていることがある。その場合は自分では変更できない。
Windows 11:サインイン時に前回のアプリを再起動
この設定は、前回サインアウトや再起動の直前に開いていた対応アプリを、サインイン後に自動で開き直すもの。まずはここから試すとよい。
手順の流れ
- 設定を開く
- アカウントを選ぶ
- サインイン オプションを開く
- 追加の設定の項目を確認する
- 前回のアプリを再起動する設定をオンにする
実際の画面遷移
- スタートメニューから設定を開く。
- 左の一覧でアカウントを選ぶ。
- サインイン オプションを開く。
- 追加の設定にある「以前に開いていたアプリを再起動」のような項目をオンにする。
期待できる動作
- メモや写真、Microsoft Edge など一部アプリは自動で開く。
- 作業内容の保存までは保証されない。開き直されるだけのこともある。
うまくいかないとき
- 設定が見当たらない場合は、端末のポリシーや一時的な不具合が考えられる。
- 更新プログラムの適用後は動作が変わることがある。再起動して再確認する。
設定が見つからない時は?
検索ボックスで「サインイン オプション」と入力して画面を開く。表示されない場合は、管理者の設定やエディションの違いで非表示になっている可能性がある。
動作確認とつまずき対策
設定をオンにしたら、実際に挙動を確かめる。確認の仕方を知っておくと、原因の切り分けが早くなる。
確認手順
- いくつかのアプリを開く。
- 重要なファイルは保存する。
- 再起動を実行する。
- サインイン後、どのアプリが開き直されるかを確認する。
よくあるつまずき
- アプリは開いたが編集中の内容は戻らない。
- 管理者として実行しているアプリは復元されない。
- 仮想デスクトップやマルチモニター構成でウィンドウ位置が変わる。
対策の例
- 復元を期待するアプリは、まずは通常権限で起動して挙動を試す。
- 内容の復元が必要な場合は、アプリの自動保存や履歴機能を有効にする。
ブラウザーのタブやシークレットは?
通常のウィンドウはブラウザー側の設定で復元できることがある。シークレットやプライベートウィンドウは設計上復元されない。
代替策:常時起動したいアプリはスタートアップ登録
サインイン時の復元で戻らないアプリは、スタートアップで自動起動させるとよい。これは毎回必ず起動してほしいアプリに向いている。
基本の考え方
- スタートアップにショートカットを置くと、Windowsの起動時にそのアプリが起動する。
- 戻したいのがアプリの状態ではなく、単に起動自体でよいときに有効。
登録の流れ
- 起動させたいアプリの本体を探す。拡張子が exe のファイルであることが多い。
- 右クリックからショートカットを作成する。
- 後述のスタートアップフォルダーを開き、その中にショートカットを入れる。
補足
- 起動が重くなるほど登録しない。 必要最小限にする。
- 起動順序が重要な場合は、遅延起動ツールやタスクスケジューラの活用も検討する。
ストアアプリも登録できる?
デスクトップアプリは登録しやすい。ストアアプリはショートカットの扱いが異なり、直接登録できない場合がある。まずはアプリ側の設定に自動起動の項目がないかを確認する。
スタートアップフォルダーを開く方法
ユーザーごと、全ユーザー共通の二つのスタートアップフォルダーがある。自分だけに適用したい設定はユーザー用、共有端末で全員に適用したい場合は共通用を使う。
開き方
- ユーザー用のスタートアップを開くには、フォルダーのアドレス欄に shell:startup と入力して実行する。
- 全ユーザー共通のスタートアップを開くには、shell:common startup と入力する。
配置のコツ
- ショートカット名はわかりやすくする。
- ネットワーク上のプログラムやスクリプトは、接続が確立するまで起動できないことがある。
権限が無い場合の置き場所は?
共通のスタートアップには管理者権限が必要なことが多い。権限がない場合は、ユーザー用のスタートアップに置く。
前回のフォルダーウィンドウを自動で開く設定
ファイル作業の続きは、フォルダーを同じ場所から開けると速い。エクスプローラーの設定で、前回のフォルダーウィンドウを自動で開き直せる。
Windows 11 での手順
- エクスプローラーを開く。
- 表示メニューからオプションを開く。
- フォルダーオプションの表示タブを選ぶ。
- ログオン時に以前のフォルダーウィンドウを表示する、に相当する項目をオンにする。
Windows 10 での手順
- エクスプローラーを開く。
- 表示タブからオプションを開く。
- フォルダーオプションの表示タブを開き、同様の項目をオンにする。
注意
- ネットワークの場所や取り外し可能なドライブは、再接続できないと開かれない。
- 直前に閉じたウィンドウは対象外。開いたまま再起動する必要がある。
反映されない時のチェック項目は?
設定がオンになっているか、ウィンドウを閉じずに再起動したか、ネットワークの接続はあるか、これらを順に確認する。
フォルダー復元の確認と制限
設定ができたら、再起動してフォルダーが戻るかを試す。いくつかの条件で復元が制限されることがある。
確認手順
- 複数のフォルダーを開く。
- そのまま再起動する。
- サインイン後、同じフォルダーが開くかを見る。
制限の例
- ネットワークドライブの再接続に時間がかかると、ウィンドウが開かないことがある。
- 外付けドライブの電源が入っていないと開けない。
- アクセス権が変わると表示されない。
ネットワークドライブも復元される?
接続が確立していれば開くことがある。サインイン直後は未接続の場合があるため、時間差で開くこともある。
補足:Excelで複数ブックをまとめて開く小ワザ
毎回同じ複数のファイルを開くなら、まとめて起動する小ワザが便利だ。エクスプローラーで複数のブックを選び、Enter を押すだけでも同時に開ける。フォルダー単位でよく開くなら、ショートカットを作っておくと早い。
使い方の例
- よく使う請求書や見積書のブックを同じフォルダーにまとめる。
- そのフォルダーをクイックアクセスにピン留めする。
- 月初や週初にまとめて開く運用にすると準備が速い。
他のアプリでも、複数ファイル選択や最近使ったファイルからの一括起動が使えることがある。アプリ側の仕様に合わせて確認する。
他アプリでもまとめて開ける?
Word、PowerPoint、画像ビューアーなどでも、複数ファイル選択からの同時起動が使えることがある。対応状況はアプリによって異なる。