折れ線をなめらかにつなぐ設定集|欠測値の扱いと表示ルール

- 折れ線が途切れる理由を整理(空白/NA/0/非表示/軸の違い)
- [データソースの選択]ダイアログを開く(最短手順)
- [非表示および空白のセル]で「データ要素を線で結ぶ」を選ぶ(核心設定)
- 「非表示の行と列のデータを表示する」の意味と注意
- 軸の設定で見え方が変わる:日付軸と項目軸、間隔の指定
- 背景帯の活用で読みやすくする(3バリエーション)
- 縦棒/折れ線グラフに平均値の線を追加(データは非表示に可)
- 系列名を直接ラベル表示して凡例より見やすく
- 縦の目盛線や降下線(ドロップライン)で読み取りを補助
- 折れ線の種類と積み上げ折れ線の基礎(使いどころ)
- 例題:体重推移表と折れ線グラフ(朝と夜の平均をとる考え方)
- グラフのデータ範囲を可変にして自動拡張する2つの方法
折れ線が途切れる理由を整理(空白/NA/0/非表示/軸の違い)
最初に、折れ線が切れて見える主な理由をまとめます。ここでの用語は、後の章でも同じ意味で使います。
- 空白セル:値が入っていない状態。セルはあるが中身が空。
- 欠損値(NA):関数などでエラーや欠測を表す値。見た目が空白と似る。
- 0(ゼロ):数値のゼロ。欠損ではなく実在する値。
- 非表示:行や列を非表示にしたり、フィルターで一時的に隠している状態。
- 軸の種類:日付軸(時間の連続を保つ)と項目軸(項目ごとに等間隔)の違い。
折れ線が途切れるかどうかは、「空白や欠損をどう描くか」「非表示を描くか」「軸の種類」で変わります。まずは現在のデータがどの状態に当てはまるかを確認しましょう。
【表】空白・NA・0・非表示と表示の関係(一般的な初期設定の傾向)
データ状態 | 折れ線の挙動 | ありがちな混同 | 対処の方向性 |
---|---|---|---|
空白セル | 点が欠け、線が途切れやすい | 欠損と0の違いが不明確 | 空白の扱いを明示する設定を使う |
欠損値(NA) | 多くの場合、点なしで間が切れる | 空白と同じに見える | 欠損かゼロかを別列で管理 |
0(ゼロ) | 0の位置に点が打たれ、線は連続 | 欠損として誤解 | 0は値。欠測と区別する |
非表示(行/列) | 初期は無視されて切れることがある | フィルターと削除の混同 | 非表示も描画する設定を確認 |
軸の種類(日付/項目) | 日付軸は欠測期間も時間だけ進む | 項目軸との違いを失念 | 軸を目的に合わせて選ぶ |
FAQ:0は欠測と同じ扱いになりますか?
いいえ。0は実際の値であり、欠測ではありません。欠測は「値が不明」、0は「値が0」です。グラフでは0の位置に点が描かれ、線は連続します。
[データソースの選択]ダイアログを開く(最短手順)
ここでは、目的の設定に素早くたどり着く手順を示します。環境により名称が少し異なることがあります。
- グラフをクリックして選択します。
- グラフ上で右クリックし、データに関するメニューを開きます。
- [データソースの選択]を選び、データ範囲と系列の編集画面を開きます。
このダイアログから、空白や非表示の扱いに関わるボタンへ進めます。後で系列の追加や置き換えもここから行えます。
FAQ:グラフエリアと系列、どちらを右クリックすればよい?
グラフエリアで右クリックするとメニューに到達しやすいです。系列の上でも開けますが、意図しない系列編集に入ることがあります。
[非表示および空白のセル]で「データ要素を線で結ぶ」を選ぶ(核心設定)
折れ線を連続表示したいときの中心となる設定です。ここでは空白や欠損の見え方をコントロールします。
- [データソースの選択]ダイアログから、[非表示および空白のセル]をクリックします。
- 空白セルの表示方法で「データ要素を線で結ぶ」を選びます。
- 必要に応じて、非表示のデータも描画するオプションを確認します。
この設定を有効にすると、空白部分を補って線が連続して描かれます。ただし、実際の値を作るわけではありません。データ解析では、欠測は欠測として別に管理しましょう。
注意点として、空白とエラー(NA)は区別されます。関数でエラーが出ている場合は、空白に変換するか、別の列で扱ってから描画すると安定します。
FAQ:「間を補間」と「前の値を保持」はどう違う?
間を補間は前後の点を結んで線を引きます。前の値を保持は、次の点が出るまで直前の値を延ばす考え方です。目的に沿う方法を選びましょう。
「非表示の行と列のデータを表示する」の意味と注意
非表示やフィルターで隠れているデータを、グラフに含めるかどうかを決める設定です。
- 有効にする:期間や項目を一時的に非表示にしても、トレンドが切れずに見られます。
- 無効にする:画面に見えるデータだけでグラフを作りたい場合に向きます。
データを削除したわけではないのに線が切れるときは、この設定を見直してください。集計列や平均線を重ねる場合も、非表示データの扱いで結果が変わることがあります。
FAQ:フィルターで隠した期間も線でつながりますか?
設定で「非表示の行と列のデータを表示する」を有効にすれば、隠れていても線は連続します。無効なら隠れた部分は描かれません。
軸の設定で見え方が変わる:日付軸と項目軸、間隔の指定
軸の種類は見え方に大きく影響します。日付軸は時間の連続を保ち、項目軸はデータ点を等間隔に並べます。欠測が多い場合、日付軸だと空白期間の幅が広く見えることがあります。
【表】日付軸と項目軸の比較
項目 | 日付軸 | 項目軸 |
---|---|---|
点間隔 | 実際の日時の間隔に比例 | 常に等間隔 |
欠測の見え方 | 欠測期間も横方向に広がる | 欠測は点が欠けるだけ |
連続性の印象 | 時系列の流れが自然 | イベント比較が容易 |
おすすめの用途 | 日次や時間などの連続データ | 品目別・カテゴリ別の比較 |
間隔の指定では、主目盛・補助目盛の間隔を合わせると読みやすくなります。長期データは月単位、短期は日単位など、粒度をそろえると途切れ感が減ります。
FAQ:日付軸なのに点の間隔が不規則に見えるのはなぜ?
実際のデータ間隔が不均一だからです。休日などでデータがない日を含むため、時間の流れに合わせて間隔が広がって見えます。
背景帯の活用で読みやすくする(3バリエーション)
折れ線そのものをいじらなくても、背景に帯を置くと区間の理解が早くなります。帯は追加の系列や図形で実現できます。
目盛り間隔ごとに背景を色分け
軸の目盛りに合わせて、交互に淡い色を敷きます。長い期間のデータでも、区切りがはっきりします。薄い色を使い、凡例は不要にします。
一定間隔ごとに縦に色分け
週や四半期など等間隔で縦帯を入れます。間隔が変わっても、系列のデータが増減しても、自動で帯が並ぶように、補助列に開始・終了を作っておくと管理が楽です。
特定期間だけ背景色を変えて強調
キャンペーン期間やイベント期間だけ強い色でマークします。帯が強すぎると折れ線が埋もれるので、透明度の高い色を選びます。凡例の名前は短くし、必要なら後から非表示にします。
FAQ:データ更新で帯の位置がズレないようにするには?
帯の位置をデータと同じ軸に結びつけるのが基本です。開始・終了時刻を数値で持つ補助列を用意し、グラフのデータ範囲をテーブル化するとズレにくくなります。
縦棒/折れ線グラフに平均値の線を追加(データは非表示に可)
目安線を重ねると水準がわかりやすくなります。平均値は別系列にして描き、凡例は必要に応じて非表示にします。
手順の一例:
- データ範囲の横に平均値の列を作ります(全期間同じ値)。
- グラフに系列として追加し、折れ線のスタイルを細めに設定します。
- 凡例やデータラベルは必要に応じて調整します。
移動平均を使うと、短期の波をならして傾向が見やすくなります。期間はデータの周期に合わせて選びます。
FAQ:移動平均と単純平均はどう使い分ける?
全期間の水準を見たいなら単純平均、短期の傾向やノイズ除去には移動平均が向きます。目的に合わせて選びましょう。
系列名を直接ラベル表示して凡例より見やすく
線の近くに名前を表示すると、凡例を見比べる手間が減ります。重なりやすい場合は、末端の点だけにラベルを付けると読みやすくなります。
設定のコツ:
- 自動配置で重なったら、手動でわずかにずらす。
- 文字サイズは小さめにし、色は線に合わせる。
- ラベルの枠線や塗りは原則なしにして軽く見せる。
FAQ:自動でラベル位置が重ならないようにできますか?
自動配置機能がありますが、密なグラフでは手動調整が必要です。末端のみ表示や重要系列だけ表示など、ルールを決めて運用すると安定します。
縦の目盛線や降下線(ドロップライン)で読み取りを補助
縦の目盛線や降下線を使うと、特定の点の値や時点を読み取りやすくなります。多すぎると騒がしくなるので、主な区切りだけに絞ります。
- 主要な目盛にだけ縦線を入れる。
- 降下線は強調したい系列だけに付ける。
- 線の色は薄いグレーなど目立ちすぎない色にする。
FAQ:補助線を入れすぎたときの調整ポイントは?
線の数を減らし、太さと色を弱めます。重要な区切りだけ残し、他は非表示にすると見やすさが戻ります。
折れ線の種類と積み上げ折れ線の基礎(使いどころ)
折れ線には通常のほか、滑らかに見せるタイプや積み上げ折れ線があります。積み上げは値を合計して重ねるため、個々の系列の形が変わることがあります。
- 通常の折れ線:元の値の変化をそのまま表示。
- 平滑化された折れ線:見た目がなめらか。極端な上下を強調しすぎない。
- 積み上げ折れ線:系列を重ねて全体の合計を示す。
FAQ:積み上げにすると途中が直線的に見えるのはなぜ?
個々の系列が小さい場合、合計が支配的になり、細かな変化が隠れます。積み上げは全体の推移を見る用途に向きます。
例題:体重推移表と折れ線グラフ(朝と夜の平均をとる考え方)
身近な例として、朝と夜の値から平均をとって折れ線を描く流れを示します。ここでは一般的な操作の例にとどめます。
- 日付、朝、夜の3列を用意し、平均列を追加します。
- 測れなかった日は空白のままにし、補助列で平均を計算できる日だけ値を出します。
- 折れ線グラフを作成し、空白の扱いを「データ要素を線で結ぶ」にします。
この方法なら、実測のない日を無理に埋めずに、全体の傾向を追えます。個々の判断や健康に関する助言は行いません。記録方法の一例として参考にしてください。
FAQ:測れなかった日の扱いはどうすればよい?
無理に値を入れず、空白のまま扱いましょう。グラフ側で線を結ぶ設定を使えば、全体の流れは読み取れます。
グラフのデータ範囲を可変にして自動拡張する2つの方法
データが増えるたびにグラフ範囲を手で直すのは手間です。可変化しておくと更新が楽になります。よく使われる方法を2つ紹介します。
【表】可変範囲の方法の比較
方法 | 概要 | 長所 | 注意点 |
---|---|---|---|
テーブル化 | データ範囲をテーブルに変換 | 追加が自動で反映、簡単 | 参照名が変わるため関数の書き方に慣れが必要 |
名前付き範囲(OFFSET/INDEX) | 数式で範囲の終端を指定 | 柔軟で複数表に応用可能 | 数式の保守が必要、重い場合あり |
運用に慣れていない場合は、まずテーブル化から始めると安定します。複雑な条件がある場合だけ名前付き範囲を検討します。
FAQ:どの方法が壊れにくく処理が軽い?
一般にはテーブル化が簡単で安定しやすいです。特殊な並び替えや複数条件がある場合のみ、名前付き範囲を選ぶとよいでしょう。