テキストボックスと図形の選び方|違いと用途別の使い分け徹底ガイド

文章を入れる枠を用意するとき、四角形などの図形に文字を載せるか、テキストボックスを使うかで迷うことがあります。初期状態の見た目や設定には差がありますが、塗りつぶしや線、形は後から自由に変更できます。作り直す必要は基本的にありません。とはいえ、両者の特徴を知っておくと作業がグッと効率的になります。ここでは Word に加え、Excel や PowerPoint での違いも含めて整理します。
テキストボックスのコマンド
テキストボックスは、[挿入]タブから直接、または[図形]経由で追加できます。
[挿入]タブの[テキストボックス]
[挿入]→[テキスト]グループの[テキストボックス]をクリックすると、[横書きテキストボックスの描画]と[縦書きテキストボックスの描画]を選べます。
[挿入]タブの[図形]
[挿入]→[図]グループの[図形]を開くと、[基本図形]の中に[テキストボックス]と[縦書きテキストボックス]があります。テキストボックスは図形の一種のため、どちらから挿入しても同じオブジェクトが作成されます(Excel・PowerPoint も同様)。
なお、既存の文章を範囲選択してテキストボックス化できるのは、[挿入]→[テキストボックス]経由のみです。
図形とテキストボックスの挿入方法
どちらも「ドラッグして大きさを決める」「クリックして既定サイズで置く」の2通りがあります。
ドラッグで挿入
任意の場所をドラッグして作成します。既定の枠線表示はアプリや操作方法で差があります。Word はテキストボックスに枠線が表示、PowerPoint は表示なし、Excel はクリック挿入だと枠線なし/ドラッグ挿入だと枠線あり、という違いがあります。
クリックで挿入
本文上でクリックすると、テキストボックスは細長い縦長、図形の[正方形/長方形]や[楕円]は正方形・正円で入ります。
テキストボックス:ドラッグ挿入とクリック挿入で異なる既定
テキストボックスは、ドラッグ挿入では[図形内でテキストを折り返す]がオン、クリック挿入ではオフになります。図形はどちらの挿入でも折り返しがオンです(Excel・PowerPoint も同様)。
[図形の書式設定]作業ウィンドウは、[図形の書式]タブの[図形の書式設定]や、右クリックの[図形の書式設定]から開けます。
[描画モードのロック]は図形のみ
同じ図形を連続で描きたいときは、目的の図形を右クリックして[描画モードのロック]をオンにします。解除するまで続けて配置できます。テキストボックスはこの機能に対応していません(Word/Excel/PowerPoint 共通)。解除は[Esc]または同コマンドの再クリックで行います。
文字列の折り返しは既定で[前面]
図形・テキストボックスとも、Word では既定の配置が[前面]のため、挿入直後からドラッグで自由に移動できます。PowerPoint/Excel でも同様に自由配置が可能です。
挿入後の編集は[図形の書式]タブで統一
図形でもテキストボックスでも、選択すると[図形の書式]タブが表示され、同じコマンドで装飾・配置・効果を設定できます。
横書きを縦書きへ切り替え
[図形の書式]→[文字列の方向]から[縦書き]を選択します。テキストボックスと図形で文字位置の初期設定が異なるため、配置に差が出る点に注意してください。
挿入直後の図形とテキストボックスの主な違い
初期状態の見た目は異なりますが、どれも後から調整可能です。作り直す必要はありません。
塗りつぶしの色
図形はテーマに応じたアクセント色(例:テーマが[Office]なら「青 アクセント1」)で塗りつぶし、テキストボックスは白が既定です。テーマを変えると色やフォントも切り替わります。
カーソルの表示
図形は挿入直後はカーソルが出ませんが、そのまま入力すると文字を入れられます。カーソルだけ表示したい場合は右クリック→[テキストの追加]。Excel/PowerPoint は図形をダブルクリックでもカーソルが出ます。テキストボックスは作成直後からカーソルが表示され、すぐに入力できます。
[図形の書式設定]作業ウィンドウを開く
[図形の書式]タブの[図形の書式設定]、または右クリック→[図形の書式設定]で表示します。図形・テキストボックスとも同じ構成ですが、内部にカーソルがある状態で右クリックすると表示メニューが変わるため、選択対象に注意してください。
文字の既定位置
図形とテキストボックスは、既定の文字配置が異なります。
図形の場合
[上下中央]が既定です。[図形の書式設定]→[文字のオプション]→[レイアウトとプロパティ]→[テキストボックス]の[垂直方向の配置]で変更できます。[ホーム]タブの[段落]では中央揃えが既定になっています。
テキストボックスの場合
上揃え・両端揃えが初期設定です。図形/テキストボックスとも、改行は[Enter]、編集終了は[Esc]で本文側へ戻れます。
テキストボックスを図形に変更する
テキストボックスは、[図形の書式]→[図形の編集]→[図形の変更]から任意の図形に変換できます。書式とテキストは保持されます。
挿入済みの画像だけ差し替えたい場合は[図の変更]が便利です。
テキストボックスのリンク機能を図形でも使うには
Word には、テキストボックス間で文字を流し込む「リンク」があります。図形でも、内部にカーソルが表示されていれば「テキストボックス扱い」となり、リンク機能が使えます。
- 図形内で右クリック→[テキストの追加]でカーソルを表示
- [図形の書式]→[テキスト]→[リンクの作成]を実行
- リンク先の空のテキストボックス(またはカーソル表示済みの図形)をクリック
カーソルが出ていない図形に直接はリンクできません。吹き出し図形は挿入時からカーソルがあるため、そのままリンク可能です。
入力例として、図形に「=rand()」と入力するとサンプル文(約650文字)を流し込めます。
図形・テキストボックス内の文字を通常の本文に戻す
図形やテキストボックス内の文字を通常の本文にしたいときは、対象の文字を選択して外へドラッグします。空になった枠は不要なら選択して[Delete]で削除します。
Excel と PowerPoint のポイント
Excel/PowerPoint の図形は Word と似ていますが、初期の文字位置や自動調整に違いがあります。
- Excel:図形・テキストボックスとも既定は「上揃え・左揃え」。数式バーでセル参照して内容をリンク可。
- PowerPoint:図形は[上下中央揃え]、テキストボックスは[上揃え]かつ「テキストに合わせて図形のサイズを調整」がオン。プレースホルダー/テキストボックス/図形/ワードアートなど入力手段が複数。
- 段組み:Excel/PowerPoint の図形・テキストボックスには段組み設定あり。Word の本文には段組み機能があるが、Word の図形・テキストボックス自体には段組み設定はない。
ワードアートは「テキストボックス+文字効果」のセットとして使えます。大きなタイトルや装飾文字に便利です。