画像のメタデータを安全に削除する方法|初心者にもわかる手順をやさしく解説

画像には見た目には現れない「メタデータ(付加情報)」が含まれていることがあります。便利な一方で、公開したくない情報が含まれる場合もあります。ここでは、メタデータの基礎から削除のメリット、具体的な消し方、チェック方法、そして安全に運用するためのコツまで、やさしい言葉で丁寧に深掘りします。
メタデータの基礎と注意点
メタデータは「データを説明するためのデータ」のこと。画像では撮影日時や位置情報(GPS)、カメラ名・レンズ・露出、作成アプリ、著作権表記などが含まれることがあります。整理や検索に役立つ反面、SNSやWebに投稿すると不要な情報まで共有してしまう恐れがあります。
主なメタデータの種類と中身
- EXIF:撮影日時、GPS、カメラ・レンズ名、露出、ホワイトバランスなど
- IPTC:著作権者、キャプション、クレジット、キーワード、連絡先など
- XMP:編集履歴、アプリ情報、カスタムメタデータ(生成AIの設定が含まれる場合も)
種別 | 主な用途 | よく入る情報 | 漏れると困る例 |
---|---|---|---|
EXIF | 撮影情報 | 日時・GPS・機材・露出 | 自宅や学校の位置が特定される |
IPTC | 配信・権利管理 | 著作権者・連絡先・キャプション | 私用アドレスが公開される |
XMP | 編集・AI設定 | 編集履歴・プロンプト・モデル名 | 独自ノウハウ(プロンプト)が露出 |
生成AI画像(AIイラスト)のメタデータ
NovelAIやStable Diffusionなどの出力画像には、プロンプト、ネガティブプロンプト、シード値、モデル名、ステップ数などが書き込まれることがあります。サービスによっては自動削除されますが、すべてではありません。公開前に自分で確認・除去しておくと安心です。
プロンプト流出を避ける小さな工夫
- 配布用は「メタデータなし」版を書き出す運用にする
- サムネイルやプレビューは圧縮時にメタデータ除去する
- 共有前に必ずチェック(後述の確認方法を活用)
メタデータを削除するメリット
- 位置情報や作成環境など、公開したくない情報を守れる
- 不要情報が減り、ファイルサイズが軽くなる場合がある
- 生成AIのプロンプトやシードなど、独自ノウハウの露出を防げる
具体的な削除方法(目的や環境で選べます)
- フリーソフトで一括処理:大量の画像を一気に消したいとき
- ウェブサービスで手早く:インストールせずに完結したいとき
- ペイント/画像編集ソフトで保存:加工と同時に削除したいとき
- OS標準機能で最低限:追加ソフトなしでサクッと済ませたいとき
フリーソフト(例:ExifCleaner)
ExifCleanerはドラッグ&ドロップで複数画像のメタデータを一括削除できます。JPEGのEXIFだけでなくPNGなどにも対応します。
- 公式からダウンロード→起動→画像をドラッグ&ドロップで即処理
- 上書きになる設定の場合があります。元データを残したいなら事前にコピーを作るか、出力先を別フォルダに設定しましょう。
ウェブサービス(例:tinyPNG / tinyJPG)
画像をアップロードすると圧縮と同時にメタデータも削除されるタイプです。手軽ですが、機密性の高い画像のアップロードは避けましょう。
- サイトにアクセス→画像をアップロード→圧縮後にダウンロード
- 同時に軽量化されるため、共有や掲載に向きます
ペイント/画像編集ソフト(例:GIMP)
編集ついでにメタデータを外す方法です。GIMPなら書き出し時にEXIFやコメントを外せます。
- 画像を開く→[ファイル]→[名前を付けてエクスポート]→形式を選択
- 詳細設定で「Save Exif data」等のチェックを外す
- 「コメント」に残る情報がないかも確認して削除
Windows標準で削除(最小限)
- 画像を右クリック→[プロパティ]→[詳細]タブ
- [プロパティや個人情報を削除]→「コピーを作成」または「可能なすべてのプロパティを削除」を選択
- GPSなど一部を個別に削除することも可能
macOS標準で位置情報だけ外す(目安)
- プレビューで画像を開く→[ファイル]→[書き出す…]
- 必要に応じて位置情報を除去できるオプションを選択(バージョンにより表示は異なります)
- 徹底した除去が必要なら、専用ツールとの併用がおすすめ
スマホ側で「付けない」設定にする
- iPhone:[設定]→[プライバシーとセキュリティ]→[位置情報サービス]→カメラを「なし」または「Appの使用中」に設定
- Android:カメラアプリの設定で「位置情報を保存」をオフに(機種やアプリで名称は異なります)
- 共有時に「位置情報を削除」できる機能がある場合はオンにする
上級者向け:ExifToolで確実に除去
多数の形式・全タグに対応した強力なツールです。コマンド操作に抵抗がなければ、最も確実な方法のひとつです。
- 例:全メタデータ削除(元ファイルを残したいときはバックアップ推奨)
- 例:GPSだけ削除、著作権やクレジットは残す、といった細かな制御も可能
※コマンドの詳細は公式ドキュメントを参照し、必ずコピーで試してから本番運用してください。
削除後の確認方法(必ずチェック)
- Windows:右クリック→[プロパティ]→[詳細]で撮影日時・GPS等が空か確認
- macOS:プレビュー→[ツール]→[インスペクタを表示]→情報パネルで確認
- ExifTool等で一覧表示し、目的のタグ(GPS、プロンプト、シードなど)が消えているか確認
ワークフロー例(再現性のある安全運用)
- ① 元データを保管(編集・証跡用)
- ② 公開用を書き出し(サイズ調整)
- ③ メタデータ除去(ツールや書き出しオプション)
- ④ 最終確認(プロパティ/Exif表示)
- ⑤ 公開(SNS・Web・配布)
注意事項とベストプラクティス
- 権利表記(著作権者・クレジット)まで消すと、配布条件に反する場合があります。必要に応じてIPTC/XMPの権利情報は残す運用も検討しましょう。
- 業務や契約で「撮影情報の保持」が求められることがあります。案件ごとの要件を必ず確認してください。
- オンラインサービスにアップロードする際は、規約とプライバシーポリシーを事前に確認しましょう。
まとめ
メタデータは便利ですが、公開時には不要・有害になることもあります。公開前に「付けない/消す/確認する」の3点を徹底すれば、位置情報やプロンプトなど大切な情報を自分で守れます。用途や環境に合わせて、フリーソフト・ウェブサービス・編集ソフト・OS標準機能を上手に使い分け、安全でスマートなワークフローを整えましょう。