ピボットテーブルを見やすくする方法:空白行・小計位置・見出し非表示まとめ
ピボットテーブルを見やすくする方法:空白行・小計位置・見出し非表示まとめ
ピボットテーブルは、データをまとめて見せられる便利な機能です。たとえば、売上や件数を「月別」「担当者別」「商品別」のように切り替えて、すぐに集計できます。
ただ、初期のままだと表示がごちゃっとして、読み取りにくいことがあります。小計や総計が自動で増えたり、見出しやボタンが多かったりして、見たい数字に目が行きにくくなることもあります。
この記事では、ピボットテーブルの「体裁(見た目)」を整えるために、よく使う設定をまとめます。空白行を入れて区切りを作る方法、小計や総計の出し方を調整する方法、見出しやボタンを非表示にしてスッキリ見せる方法まで、順番に確認していきましょう。
仕上げ方のコツは、作業しやすさと見せ方のバランスです。自分で触って分析するなら便利な表示を残し、共有や印刷をするなら余計な表示を減らす、といった考え方で進めると失敗しにくいです。
※画面やメニュー名は、Excelのバージョンで少し違うことがあります。見当たらない場合は、近い名前の項目を探してください。
ピボットテーブルの作成
ピボットテーブルの体裁を整える前に、まずは「どこで設定するか」を押さえておくと迷いにくいです。ピボットテーブルは、元データ(表のような一覧)から作ります。
まずは、元データのどこか1つのセルを選び、ピボットテーブルの作成機能から集計表を作ります。作成先は「新しいシート」か「同じシート」かを選べることが多いので、慣れないうちは新しいシートに作ると、元の表を壊しにくく安心です。
作成すると、シート上に集計表ができて、右側などに「フィールドリスト」が表示されます。ここで、どの項目でまとめるか、何を合計するかを決めます。フィールドリストは、行・列・値・フィルターのエリアにドラッグして配置する形が多く、慣れると直感的に操作できます。
この段階では、細かい体裁よりも「集計の骨組み」を作ることが大切です。たとえば、行に担当者、列に月、値に売上額を入れる、といった形ができれば、あとは表示の整え方を順番に調整していけます。
元データ側は、列ごとに見出しがあり、途中に空白行や空白列が少ない状態が理想です。数値の列に文字が混ざっていたり、見出しが重複していたりすると、集計が想定どおりにならないことがあります。
ピボットがうまく作れないときは、元データの形も一度チェックすると解決しやすくなります。特に、表の途中に合計行やメモ行が入っていないか、結合セルが多くないか、日付や数値が文字として扱われていないか、を確認すると原因が見つかりやすいです。
ピボットテーブルとピボットグラフを同時に作成
集計表だけでなく、グラフも一緒に作りたい場合があります。たとえば「月ごとの売上の推移」を棒グラフで見たい、というような場面です。
ピボットグラフを使うと、ピボットテーブルと同じ条件でグラフが動きます。フィルターや項目の並べ替えをすると、表とグラフが連動するので便利です。数字の表だけだと気づきにくい増減も、グラフにすると一目で分かることがあります。
操作としては、ピボットテーブルを作るときに、ピボットグラフも作成できる選択肢があることがあります。すでにピボットテーブルがある場合でも、あとからピボットグラフを追加できます。
グラフを使うときは、見せたい内容に合わせて種類を選ぶのがポイントです。推移を見たいなら折れ線、項目ごとの比較なら棒、割合を見たいなら円グラフ、というように目的を決めてから作ると、読み手に伝わりやすくなります。
小計行をグループの末尾に表示
ピボットテーブルは「グループごとの小計」が自動で入ることがあります。小計があるのは便利ですが、位置や見せ方によっては、かえって読みづらくなることもあります。
たとえば、小計が各グループの上側に入っていると、最初に目に入るのが小計になり、明細の流れが追いにくくなることがあります。逆に、小計が多すぎると、スクロールしたときに同じような合計行が続いてしまい、どこが本当のデータ行なのか迷いやすいです。
ここでは、小計をグループの下側(末尾)にまとめたり、表形式を変えて読みやすくしたりする考え方を整理します。見た目の話に見えますが、数字の読み取りミスを減らすことにもつながるので、できれば最初に整えておきたいポイントです。
ピボットテーブルのレイアウト変更(従来の表形式で表示するには)
ピボットテーブルの見やすさは、レイアウトの影響が大きいです。初期のレイアウトだと、行ラベルがまとまって表示され、項目がどこまで続いているのか分かりにくいことがあります。
従来の表のように、列ごとに見出しがはっきりしている形にしたい場合は、レイアウトの種類を変更します。表形式に寄せると、行の階層が見やすくなり、あとで加工もしやすくなることが多いです。
また、表形式にしておくと、後から「並べ替え」「フィルター」「印刷範囲の調整」などもしやすくなります。見る人が多い資料ほど、表の見た目が整っているだけで、内容の理解も速くなります。
レイアウトを変えると「空白行を入れる」「小計を下に出す」などの設定と相性がよくなる場合があります。体裁を整えるときは、まずレイアウトを決めてから細かい設定に進むと失敗しにくいです。
ピボットテーブルの小計と総計の表示/非表示の方法と集計の変更
小計や総計は、常に必要とは限りません。たとえば、グループごとの数値だけ見たいのに、総計が大きく表示されて目線が散ることがあります。
小計は「グループの合計」、総計は「全体の合計」です。どちらを出すかは、見る人が何を判断したいかで決まります。もし「担当者ごとの比較」をしたいのなら、小計は必要でも総計はなくてよいことがあります。逆に「全体の規模感」を伝える資料なら、総計があるほうが話が早いです。
さらに、小計の集計方法も変更できることがあります。合計だけでなく、件数や平均を使いたい場面もあります。元データの意味に合わせて、集計の種類を選ぶと誤解が減ります。
なお、集計の種類を変えると、表の見た目だけでなく「数字の意味」も変わります。変更したあとに、見出しや説明が不足していると、受け取った人が合計と平均を取り違えることもあるので注意が必要です。
体裁としては、次のように考えると決めやすいです。
- 小計が多すぎて縦に長くなるなら、小計を減らす、または非表示にする(必要なグループだけ残すと読みやすい)
- 小計は必要だが位置が邪魔なら、グループの上ではなく下に出す(明細を追って最後に小計を見る流れにする)
- 全体の合計が不要なら、総計を非表示にする(比較が目的なら、総計がないほうがスッキリする)
アイテムの後ろに空白行を入れる
ピボットテーブルは、項目が多いと行が詰まって見えます。そんなとき、グループの区切りに空白行があると読みやすくなります。
空白行を入れる目的は「見た目を整える」だけでなく、「どこからどこまでが同じグループか」を一目で分かるようにすることです。印刷する場合にも、区切りがあると見返しやすくなります。
ただし、空白行が増えすぎると逆に縦に長くなり、スクロールが大変になります。必要な箇所だけに入れる、という意識が大切です。
ピボットテーブルの既定のレイアウトを編集(レイアウトをインポート)
毎回同じようなピボットテーブルを作るなら、レイアウトを保存して再利用したくなることがあります。たとえば、空白行の入れ方や小計の位置、見出しの表示などを、いつも同じにしたい場合です。
Excelでは、ピボットテーブルの見た目や設定をテンプレートのように扱える仕組みがあります。既定のレイアウトを調整しておくと、新しく作るピボットでも最初から同じ形に近づけられます。
ただし、レイアウトをそのまま読み込むと、想定と違う部分まで変わることがあります。使う前に、次の点を確認すると安心です。
- 小計や総計の表示が、必要な状態になっているか
- 行や列の見出しが、意図どおり表示されているか
- 列幅が更新で変わらない設定になっているか(必要な場合)
フィールドリストや見出しなどの非表示
ピボットテーブルを仕上げるとき、画面の右側に出るフィールドリストや、表の上にあるボタン類が気になることがあります。
作業中は便利でも、印刷や共有のときは不要な表示が多いと見栄えが落ちます。ここでは、よく使う「非表示」の設定をまとめます。
なお、非表示にしても、ピボットの中身が消えるわけではありません。必要になったら再表示できるので、安心して調整してください。
フィールドリスト
フィールドリストは、ピボットテーブルの設定を変えるためのパネルです。行や列、値、フィルターに何を置くかを操作できます。
ただ、完成したあとは画面が狭くなる原因になることがあります。表示を広くして見たいときは、フィールドリストを非表示にするとスッキリします。
非表示にしても、ピボットテーブル本体はそのままです。再び編集したくなったら、同じ場所から表示を戻せます。作業中と共有用で、表示を切り替える使い方が向いています。
+/-ボタン
行の項目を階層でまとめていると、展開や折りたたみのために「+/-」のボタンが表示されることがあります。
このボタンは、操作する人にとっては便利です。しかし、見るだけの資料では、ボタンがあることで表が雑然として見える場合があります。
共有用の表として見た目を整えたいときは、+/-ボタンを非表示にします。折りたたみが必要な場合は残し、不要なら消す、という判断が分かりやすいです。
フィールドの見出し
ピボットテーブルには、「行ラベル」「列ラベル」などの見出しや、フィールド名が入った見出しが表示されます。これらは、ピボットであることを分かりやすくするための表示です。
一方で、資料として提出するときは、見出しが多すぎて見づらいことがあります。また、フィールド名が長いと、列幅が広がってしまうこともあります。
見出しを整理する方法は大きく2つあります。
- 見出しそのものを非表示にして、表だけを見せる
- フィールド名を分かりやすい短い名前に変更して、見やすくする
どちらが良いかは、受け取る人が「ピボットの仕組みを知らなくても読めるか」で決めると安全です。
合計([合計/売上額]など)の表示を整える
ピボットテーブルでは、値の列に「合計/売上額」のような見出しが付くことがあります。これは「何を集計しているか」を示すための表示です。
この見出しは、ピボットテーブルの中身を初めて見る人にとっては役に立ちます。どの数値を集計しているのかが分かり、同じ表でも「売上額」なのか「件数」なのかを取り違えにくくなるからです。
ただ、資料によっては、この見出しが長くて邪魔になったり、同じ言葉が繰り返されてうるさく見えたりします。たとえば、列が複数あるときに「合計/◯◯」が並ぶと、見出し部分が詰まってしまいます。
さらに、見出しが長いと列幅が広がりやすく、印刷で1ページに収めたいときに困ることがあります。画面で見ていると気にならなくても、印刷プレビューで急に横にはみ出す、というケースもあるので注意が必要です。
整え方としては、次のどれかを選ぶことが多いです。
- 見出しを非表示にして、表をシンプルにする
- 表の目的に合わせて、分かりやすい名前に変更する
- そもそも合計の表示が不要なら、集計の出し方自体を見直す
見出しを非表示にする場合は、表の中に「何を集計しているか」が別の形で残っているかを確認すると安心です。たとえば、表のタイトルや周辺の説明文で「売上の合計」などが明記されていれば、見出しがなくても意味が伝わりやすくなります。
名前を変更する場合は、短くしても意味がぶれない言い方を選ぶのがポイントです。読み手が多い資料ほど、略しすぎると逆に迷わせてしまうことがあります。
「見出しを消しても意味が伝わるか」を一度考えると、やりすぎを防げます。加えて、見出しを整えたあとに表を見直し、初めて見る人でも「どの数字を見ればよいか」が分かる状態になっているかを確認すると、体裁がより安定します。
総計の表示/非表示
総計は、ピボットテーブルの最後に出る「全体の合計」です。全体の規模感を示せるので、必要な場面は多いです。
総計があると、表を見た人が「全体ではどれくらいか」をすぐに把握できます。会議で全体の数字を一言で言いたいときや、報告書で最初に全体の規模感を示したいときは、総計があるだけで説明が楽になることがあります。
一方で、総計があることで、表の一番下に大きな数値が出て目立ちすぎることがあります。小計や各グループの比較をしたいのに、総計が主役になってしまうこともあります。
たとえば、担当者別の売上を比べたいのに、目線が総計に引っぱられてしまうと、肝心の差が見えにくくなります。印刷して配る資料では、総計の行だけ強く目立って「ここだけ見ればいい」と受け取られることもあるので、目的に合っているかを考えるのが大切です。
総計を出すかどうかは、次のような基準で考えると決めやすいです。
- 全体の合計が必要なら、総計は表示する
- グループ同士の比較が目的なら、総計は非表示でもよい
- 印刷して1ページに収めたいなら、総計を消すと収まる場合がある
また、総計を残す場合でも、見せ方は1通りではありません。総計を表示しつつ、色や罫線のスタイルで目立ちすぎないようにする、という調整もできます。逆に、総計を消した場合は、必要に応じて別の場所(文章や別表)で全体の数字を補足する、という考え方もあります。
また、総計は「行だけ」「列だけ」「両方」というように、出し方を選べることがあります。表の形に合わせて、最小限の総計だけ残すとスッキリします。
ピボットテーブルのスタイルの変更
設定が整ったら、最後に見た目(スタイル)を整えると完成度が上がります。スタイルは、色や罫線、見出しの強調などのデザインです。
スタイルは、表の内容を変えずに「読みやすさ」を上げられるのが強みです。たとえば、見出しと値の境目がはっきりすると、読む人は迷わずに数字を追えます。反対に、見出しも値も同じ見た目だと、列や行を読み間違えやすくなります。
スタイルを使うメリットは、読み手が「どこが見出しで、どこが値なのか」を素早く理解できることです。薄い色分けや、見出し行の強調があるだけでも、読みやすさが変わります。
また、表を共有するときは「人によって見方が違う」ことも意識したいです。自分は慣れているので読めても、初めて見る人はどこから読めばよいか迷うことがあります。スタイルで見出しや区切りが分かるだけで、説明しなくても伝わりやすくなります。
ただし、色を付けすぎると逆に見づらくなります。強い色が多いと、重要でない場所まで目立ってしまい、どこを見ればよいのか分かりにくくなることがあります。次のような方針だと、ほどよい体裁にまとまりやすいです。
- 見出し行だけを少し濃くして、本文は落ち着いた色にする
- 強調したい部分を増やしすぎない
- 印刷するなら、薄い色や罫線中心のスタイルを選ぶ
スタイルを選ぶときは、読む環境も考えると失敗が減ります。画面で見るなら色分けが効きますが、白黒印刷が多いなら罫線や太字風の見出しが中心のほうが分かりやすいです。また、背景色を濃くしすぎると、インクが多く必要になったり、文字が読みにくくなったりすることもあります。
さらに、表の見やすさは「列幅」「行の高さ」「文字の配置」などでも変わります。スタイルと合わせて、必要なら列幅や配置も少し整えると、体裁がぐっと落ち着きます。
また、ピボットを更新するたびに列幅が変わると、せっかく整えた体裁が崩れます。見た目を仕上げる前に、更新時の動きも一度確認しておくと安心です。
よくある困りごと
最後に、体裁を整える流れの中で、よく一緒に出てくる困りごとをまとめます。実際の作業では、1つの原因だけでなく、いくつかの要因が重なって起きていることも少なくありません。そのため、いきなり設定を変えるのではなく、まずは「どこを確認するか」を決めてから順番に見ていくと、無駄な試行錯誤を減らせます。
下の表は、ピボットテーブルを使っていて特につまずきやすいポイントと、最初に確認したい場所や考え方をまとめたものです。困ったときのチェックリストとして使ってください。
| 困りごと | まず確認する場所/考え方 |
|---|---|
| 更新すると列幅が変わってしまう | ピボットのオプションで「更新時に列幅を自動調整する」設定があるか確認する。列幅を手動で整えても、設定次第で更新時に元に戻ることがあるため、最初に確認すると無駄がありません。 |
| ピボットテーブルの作成や集計ができない | 元データに空白行や空白列が多くないか、見出しがそろっているかを確認する。特に、途中に合計行やメモ行が入っていると、正しく集計できない原因になります。 |
| 日付のグループ化ができない | 日付が文字列として扱われていないか、空白や異常値が混ざっていないかを確認する。見た目は日付でも、内部的には文字の場合があるので注意が必要です。 |
| レポートフィルターでシートを分けたい | レポートフィルターの機能で一括作成できるか確認し、必要なら別シートに出す。手作業でコピーするよりも、機能を使ったほうがミスを減らせます。 |
| ピボットグラフのボタンが邪魔 | グラフ側のフィールドボタンの表示/非表示を切り替える。表とグラフでは設定場所が違うため、グラフ側のメニューも確認します。 |
困ったときは、最初に「この表で何を伝えたいのか」を思い出すのが近道です。見やすさを優先したいのか、あとから操作や分析ができる状態を残したいのかで、残す表示と消す表示は変わります。目的がはっきりすると、設定の迷いも減ります。
また、会社やチームで共有する場合は、相手がどれくらいExcelに慣れているかも重要です。自分にとっては当たり前の操作でも、相手には分かりにくいことがあります。見出しやボタンを消しすぎると、相手が操作できなくなることもあるので、「見る専用か」「操作もしてもらうか」を考えたうえで、用途に合わせて調整してください。