いらなくなったスマホの安全な処分方法｜初期化とデータ消去の手順

もう使わないスマホを放置するのはなぜ危ないのか

新しいスマホに買い替えたあと、古いスマホをそのまま引き出しにしまっていないでしょうか。電源が切れているから大丈夫、と感じる人も多いのですが、実はその中にはたくさんの個人情報が残ったままになっていることがよくあります。

スマホの中には、次のような情報が入っていることが多いです。

• 家族や友だちの連絡先
• 写真や動画、位置情報つきの画像
• メールやSNSのやり取り
• ネットショッピングやフリマアプリのアカウント
• 銀行アプリやポイントアプリの情報 など

スマホを落としてしまったり、家の外に持ち出した誰かに勝手にさわられたりすると、こうした情報が見られてしまうおそれがあります。また、捨てるときに十分に準備をしないと、拾われた人が中身を見ようとするかもしれません。

さらに、古いスマホは、OSやアプリの更新が止まっていることもあります。この場合、新しいスマホに比べて安全のための仕組みが弱くなっている可能性があります。まだそのスマホを使い続ける人は、古い端末を使うときの注意点も知っておくと安心です。

まだ古いAndroidスマホをしばらく使い続ける予定がある場合は、古いAndroidスマホを使い続けるときの注意点もあわせて読んでおくと、日常の使い方を見直すきっかけになります。

このような理由から、「もう使わない」と決めたスマホは、そのまま放置せず、行き先を決めてからきちんと準備し、初期化やデータ消去をしてから手放すことが大切です。

スマホは電源を切っておくだけでは安全になりませんか？

電源を切っておくだけでは、安全と言い切ることはむずかしいです。電源が切れていても、本体の中には写真や連絡先、アカウント情報などがそのまま残っています。もし誰かが電源を入れてロック解除に成功してしまえば、中身が見られてしまう可能性があります。

そのため、もう使わないスマホは、電源を切るだけでなく、初期化やデータ消去を行い、必要に応じてアカウントの確認やパスワードの見直しもしておくと安心です。

まず決めよう「スマホの行き先」｜売る・ゆずる・捨てる

安全に処分するためには、はじめに「そのスマホをどうするか」を考えることが大切です。行き先によって、どこまで準備やデータ消去が必要かが少し変わってきます。

スマホの主な行き先の例は、次のとおりです。

• 携帯会社やメーカーの下取りに出す
• 中古ショップやフリマサービスで売る
• 家族や友だちにゆずる
• 家電量販店や携帯ショップの回収ボックスに入れる
• 自治体のルールに従って処分する
• とりあえず家で保管しておく

それぞれの行き先ごとに、メリットとデータ消去の重要度の目安を整理すると、次のようになります。

どの行き先を選ぶ場合でも、基本的には初期化やデータ消去を行ってから手放す流れを考えておくと安心です。ただし、家族にゆずる場合などは、連絡先やよく使うアプリをあえて残しておくケースもあります。相手と相談しながら、何を残して何を消すかを決めましょう。

家で保管しておくだけの場合もスマホを初期化したほうがいいですか？

家の中で保管するだけでも、初期化しておくと、万が一のときに安心です。たとえば、来客の子どもがさわってしまったり、どこかにまぎれてしまったりする可能性はゼロではありません。

ただし、あとでまた使うかもしれないと考えているなら、初期化の前にバックアップをとっておきましょう。どうしても設定をそのまま残しておきたい場合は、画面ロックを強めのものにしておくなど、できる範囲で安全性を高めておくとよいです。

処分前にやっておきたい準備チェックリスト

行き先が決まったら、すぐに初期化するのではなく、その前にいくつか準備をしておくと、あとから困りにくくなります。ここでは、「何を準備するか」にしぼってチェックリスト形式で整理します。

まずは、よくある項目を一覧にしてみましょう。

チェックするときは、次のようなポイントを意識するとスムーズです。

• 新しいスマホに、すでに同じアカウントが設定されているか
• 引き継ぎコードやバックアップの方法が、アプリごとに決まっていないか
• 大事な写真や動画が、一つの場所だけに保存されていないか

とくに、ネット銀行やキャッシュレス決済、フリマアプリなど、お金に関わるサービスは、引き継ぎ方法やログイン方法が決まっていることが多いです。公式の説明やヘルプページをよく読み、手順を確認しながら進めると安心です。

また、古いスマホしか持っていない相手にゆずる場合は、相手が困らないように、最低限必要なアプリや連絡先だけ残しておく方法もあります。その場合でも、自分の個人的なデータやアカウント情報はきちんと整理してから渡すようにしましょう。

バックアップの手順をもっと詳しく知りたい場合は、スマホのデータ移行・バックアップの詳しい解説も参考になります。

写真はどこにコピーを取っておくと安心ですか？

写真の保存先は、複数の方法を組み合わせると安心です。たとえば、クラウドサービスに保存しておく方法と、パソコンや外付けドライブにコピーしておく方法があります。それぞれに、容量や使い勝手のちがいがあります。

どの方法にも一長一短があるため、「この方法なら必ず安全」というものは言い切れませんが、少なくとも一か所だけに保存しておくよりは、二か所以上にコピーしておくほうが、万が一のときに写真を守りやすくなります。

スマホを手放す前の基本ステップ｜共通の流れと注意点

ここからは、スマホを手放すときの基本的な流れを、機種に関係なく共通の考え方として整理します。「Android」と「iPhone」で細かい画面はちがいますが、大まかな流れは次のように似ています。

• 1. 大事なデータのバックアップをとる
• 2. アカウントや連携サービスの状態を確認する
• 3. スマホ本体を初期化してデータを消す
• 4. 必要に応じて、初期化後の状態をかんたんに確認する

まず、バックアップは「あとで必要になりそうなものを別の場所にコピーしておく」作業です。写真や連絡先、アプリのデータなど、無くなると困るものから優先して移していきましょう。

次に、アカウントや連携サービスの確認です。メールアドレスやSNS、ネットショッピングなど、スマホから自動でログインできるサービスがないかを見直します。2段階認証に使っている場合は、別の端末に切り替える必要がないかもチェックしておきましょう。

そのうえで、スマホ本体の設定メニューから初期化を行います。初期化は、スマホ内に残っているデータや設定をいったん消して、購入時に近い状態に戻すための操作です。機種によってメニュー名は異なりますが、多くの場合は「設定」の中に初期化に関する項目があります。

最後に、初期化が終わったあとで、画面に個人情報が残っていないか、アプリがほとんど入っていない状態になっているかを軽く確認すると安心です。ここで不安があれば、もう一度手順を見直したり、公式のサポート情報を確認したりすることもできます。

スマホの初期化でどこまでデータを消せると考えればいいですか？

スマホの初期化は、多くの場合、通常の使い方で見える範囲のデータや設定を消すための方法です。ただし、「すべてのデータが絶対に元に戻せない」とまでは言い切れません。しくみや状況によって、専門的な手段で一部のデータが読み取られてしまう可能性を、完全にゼロにすることは難しいと考えられます。

そのため、初期化をしたうえで、必要に応じてストレージの暗号化設定を確認したり、メーカーやOSの公式ガイドにそった手順を踏んだりすることが大切です。より詳しいことが心配な場合は、携帯会社やメーカーのサポート窓口に相談するのも一つの方法です。

Androidスマホの初期化とデータ消去の手順（一般的な例）

ここでは、Androidスマホでよくある一般的な流れを、できるだけ機種名に依存しない形で紹介します。実際の画面表示やメニュー名は機種やOSのバージョンによって違うことがありますので、あくまで大まかなイメージとして参考にしてください。

一般的な流れは、次のようになります。

• 1. バックアップを再確認する
• 2. Googleアカウントなどのアカウント状態を確認する
• 3. 必要ならSDカードの扱いを決める
• 4. 設定アプリから「リセット」や「初期化」に関する項目を開く
• 5. 案内にしたがって初期化を実行する

まず、バックアップが本当に済んでいるかをもう一度確認します。写真や連絡先、アプリのデータなど、必要なものが新しい端末やクラウドサービスから見られるかどうかを確かめましょう。

次に、Googleアカウントをはじめとするアカウントの状態を確認します。機種によっては、初期化のあともアカウント情報を求められる仕組みがあります。公式のガイドに従い、必要に応じてサインアウトや設定の確認を行ってください。

SDカードを使っている場合は、そのカードをどうするかも考えます。カードごと手放すのか、カードは抜いて自分で保管するのかによって、やるべきことが変わります。カード内にも写真やファイルが残っていることが多いので、中身を確認してから決めるとよいでしょう。

そのうえで、設定アプリを開き、「システム」や「一般管理」といった項目の中から、「リセット」「データの初期化」などのメニューを探します。初期化を選ぶと、どの内容が消えるのか説明が表示されることが多いので、よく読んでから進めましょう。

初期化を実行すると、スマホは再起動し、しばらく時間がかかったあと、購入時に近い状態の画面が表示されます。このとき、個人のアカウントやアプリがほとんど残っていないことを軽く確認しておくと安心です。

Androidスマホを初期化したあとに、データが復元されることはありますか？

一般的な使い方をしている範囲では、初期化を行うことで、多くのデータや設定は見えなくなります。ただし、しくみの性質上、「絶対に復元できない」とまでは言い切れません。特別な機器や技術を使えば、一部の情報を読み取れてしまう可能性を完全にゼロにはできないと考えられます。

そのため、気になる場合は、ストレージの暗号化が有効になっているかを確認したり、メーカーやOSが案内している推奨手順にしたがったりすることが大切です。不安が残るときは、携帯会社やメーカーのサポートに相談して、より安全な方法がないか確認することもできます。

iPhoneの初期化とデータ消去の手順（一般的な例）

つづいて、iPhoneを手放すときの一般的な流れを紹介します。こちらも、iOSのバージョンやモデルによって画面が異なることがありますので、公式の案内とあわせて確認しながら進めてください。

大まかな流れは、次のようになります。

• 1. 写真や連絡先などのバックアップをとる
• 2. 「探す」機能やApple IDの状態を確認する
• 3. 必要に応じてサインアウトの手順を行う
• 4. 設定アプリからiPhoneを初期化する

まず、バックアップです。iCloudやパソコンを使ってデータのコピーを作成しておきます。新しいiPhoneにデータを引き継ぐ予定がある場合は、その手順に沿ってバックアップをとるとスムーズです。

次に、「探す」機能やApple IDの状態を確認します。iPhoneを探す機能が有効になっていると、初期化後の設定やアクティベーションの際に、Apple IDとパスワードが必要になる場合があります。公式の案内を参考にしながら、設定の状態をチェックしておきましょう。

そのうえで、必要に応じてApple IDからのサインアウトを行います。サインアウトをするときは、他のApple製品やサービスの利用状況にも影響することがあるため、あらかじめ把握しておくと安心です。

最後に、設定アプリの「一般」などのメニューから「リセット」や「すべてのコンテンツと設定を消去」にあたる項目を選びます。表示される注意書きをよく読み、内容を理解したうえで初期化を実行します。

初期化が完了すると、最初に電源を入れたときと同じような、言語や地域などを選ぶ画面が表示されます。この状態になっていれば、通常の画面からは元のデータは見えなくなっていると考えられます。

iPhoneを初期化したあと、Apple IDやほかのApple製品には何か影響がありますか？

iPhoneを初期化しても、Apple IDそのものが消えるわけではありません。Apple IDにひもづいているメールアドレスや購入履歴、他のApple製品での利用などは、そのまま残るのが一般的です。

ただし、サインアウトの方法や「探す」機能の設定によっては、他の機器での表示や利用状況が変わることがあります。心配な場合は、公式のサポート情報を確認したり、サポート窓口に相談したりして、自分の使い方に合った対処方法を確認するとよいでしょう。

これだけは忘れないでほしい注意点｜SIM・SD・ログイン情報

スマホ本体の初期化が終わっても、まだやるべきことが残っている場合があります。とくに忘れやすいのが、SIMカードやSDカード、ログイン情報に関するポイントです。

代表的な項目を一覧にすると、次のようになります。

SIMカードには、電話番号や契約に関する情報が書き込まれていることがあります。スマホ本体を手放す前に、必ず抜いておくようにしましょう。再利用しない場合でも、処分方法については契約している通信会社の案内を確認することをおすすめします。

SDカードを使っている場合は、その中に写真やファイルが残っていないかを確認したうえで、手元に残すのか、初期化して再利用するのかを決めます。人に渡す場合は、カード内のデータも整理してからにしましょう。

2段階認証や電話番号でログインするサービスは、古いスマホを手放したあとにログインできなくなる原因になりやすい部分です。事前に、別の端末でもログインできる状態にしておくと後から困りにくくなります。

使わなくなったSIMカードは、どのように処分すれば安全ですか？

使わなくなったSIMカードの扱いについては、契約している通信会社の案内を確認することが大切です。通信会社によっては、返却を求めていたり、専用の回収方法を用意していたりする場合があります。

自分の判断だけでカードを破棄する前に、公式サイトやサポート窓口で、推奨される扱い方を確認しておくと安心です。

スマホを手放したあとに不安になったときのチェックと相談先

スマホを手放したあとで、「あの設定はちゃんとできていたかな」「本当にデータは大丈夫かな」と不安になることもあるかもしれません。そのようなときは、落ち着いて次のようなポイントを確認してみましょう。

• 心配なサービスのパスワードを変更する
• ネットショッピングやフリマアプリの利用履歴を確認する
• 銀行や決済サービスなど、お金に関わるサービスの案内をチェックする

これらは、手放したあとでも、自分のアカウントから確認できる場合が多いです。少しでも不安があるときは、必要に応じてパスワードを変えておくと、リスクを下げることにつながります。

それでも心配が続く場合は、契約している携帯会社や、利用しているサービスの公式サポートに相談する方法もあります。状況に応じてどのような確認や手続きができるか、一般的な案内をしてもらえることが多いです。

また、古いスマホをまだ手元で使い続けている場合は、古い端末ならではの安全面の注意点をまとめた情報も参考になります。サポートが終了した古いバージョンのスマホを使うときの考え方などを知っておくことで、日ごろの使い方を見直すきっかけにもなります。

日ごろの使い方を見直したいときは、スマホのセキュリティに関する関連記事もあわせて読んでみてください。

もうスマホを手放してしまいましたが、今からでもやっておいたほうがよいことはありますか？

すでにスマホを手放してしまっていても、今からできることはあります。たとえば、心配なサービスのパスワードを変更したり、ログイン履歴や利用履歴を確認したりすることは、多くの場合あとからでも行えます。

状況によっては、利用しているサービスのサポート窓口や、携帯会社の窓口に相談することで、どのような対応が可能か案内してもらえることもあります。不安を一人で抱え込まず、必要に応じて公的機関や公式サポートに相談することも検討してください。