図を入れたときの「文字列の折り返し」の種類と配置(既定の変更のしかた)

サンプル文の作成
この記事では、画像を入れたときの文字の回り込み([文字列の折り返し])をやさしく説明します。まずは確認用のサンプル文を用意しましょう。実験用の文章があると、設定を変えたときの見え方を落ち着いて比べられます。
サンプル文は、3つの段落と短い箇条書きがあれば十分です。段落の長さは、2~4文を目安にしてください。最後にダミーの見出し風の一文を入れて、行間の詰まり具合も見ます。
コピペ用サンプル:この文書は見た目の確認を目的としたサンプルです。段落の折り返しや画像の位置を変え、読みやすさを比べます。操作後は、元の設定に戻せるように手順も残します。— 箇条書き:一行目、二行目、三行目。最後にもう一段落入れて、文章の回り込みを観察します。
見本は何段落あれば十分?
まずは3段落+箇条書きでOKです。必要に応じて段落を増やしましょう。
画像の挿入
次に画像を挿入します。ここでは操作の意味をはっきりさせるため、一般的な手順名で説明します。最初に入れた直後の状態を確認し、そこから回り込みの種類を切り替えていきます。
挿入時の既定は[行内]です。[行内]は、画像が文字と同じ一文字として扱われる考え方です。段落の途中に置けば文字列が前後に分かれ、改行に合わせて画像も一緒に移動します。行揃えや段落の余白設定の影響も受けます。
一方、[図形](四角や円など)を挿入した場合は、初期から回り込みを選べることが多く、画像より自由にドラッグできます。図形は塗りや枠線を変更しやすく、レイアウト用の箱としても使えます。ただし図形と画像ではプロパティやメニュー名が少し違うため、画面の表示に合わせて読み替えてください。
画像と図形で操作が違う理由は?
内部の扱いが異なるためです。画像は「一枚の絵」、図形は「レイアウトパーツ」で、既定の移動や回り込みが違います。
[行内]と[文字列の折り返し]の違い
ここからは用語をそろえます。本文では「折り返し=文字の回り込み」、「アンカー=固定の印(段落と結びつく目印)」とします。違いを理解すると、思いどおりの位置に素早く置けるようになります。
まず、文字列と一緒に移動するかで大きく2つに分かれます。[行内]は文字の流れに参加する置き方です。折り返しを設定した場合は、画像は紙面上の座標で位置を保とうとします。段落を前に追加しても、アンカーの段落が同じであれば画像はそこに留まります。
次に、折り返し点という考え方があります。折り返し点は、文字が避けるための境界線です。四角い写真なら外周がそのまま境界になります。切り抜きのような形を活かしたいときは、折り返し点を編集して、文字がもっと近づけるようにします。
文字列と一緒に移動するかしないか(配置の基準)
[行内]は段落の一部です。改行すれば下へ流れ、文字サイズを変えれば位置も変わります。折り返しを使うと、画像は段落の外に置かれ、ドラッグで自由に動かせます。迷ったら、「文字の一部にしたい→[行内]」「見出し横に固定したい→折り返し」と覚えると整理できます。
折り返し点の編集(外周と内部の考え方)
折り返し点は、画像の輪郭に沿って並ぶ小さな点です。点を動かすと境界線が変わり、文字の近づき方が変化します。外周に沿う設定なら四角い枠に避けます。内部に入り込む設定なら、くびれた部分へ文字が回り込みます。編集前にコピーを残しておくと、やり直しが楽です。
アンカーの表示と意味(移動制限の理由)
折り返しを使うオブジェクトにはアンカーが付きます。アンカーは「この段落に結びついています」という印です。アンカーより上の段落を消すと、画像の位置がずれることがあります。まずアンカーがどの段落にあるかを確認しましょう。
グループ化(図とキャプションを一緒に動かす)
図とテキストボックスを重ねて使うなら、グループ化すると便利です。ひとかたまりとして移動でき、折り返し設定も統一しやすくなります。キャプション用のテキストは「段落の間隔」や「中央揃え」を先に整えてから、グループ化すると乱れにくくなります。
隠し文字の表示(編集記号を出して確認)
隠し文字を表示すると、段落記号や改行記号が見えます。画像の位置が狂うときは、不要な改行が原因のことがあります。記号を見ながら行単位で整えると、意図どおりの配置に近づきます。
他アプリへドラッグ移動(レイアウトが崩れるときの注意)
他のアプリへドラッグすると、回り込みの情報が失われる場合があります。必要なら画像をファイルとして書き出し、貼り付け先で改めて回り込みを設定しましょう。書式はアプリごとに互換性が違うため、最小限の操作で確認を重ねるのが安全です。
思った位置に止まらないときの最初の確認は?
アンカーの場所と回り込みの種類を確認します。次に不要な改行や余白を見直します。
[文字列の折り返し]の6個の形式
よく使う回り込みは6種類です。名称と見え方、使いどころをセットで覚えると、選択が速くなります。ここでは共通の観点で比べます。観点は「主な用途」「テキストとの距離感」「配置の自由度」「印刷の安定度」です。
四角形
画像の外接矩形で文字が避けます。写真や図版を手早く置くときに向きます。境界が単純なので、段落の乱れが少なく、説明文とも合わせやすいです。
上下
画像の上下にだけ文字が入ります。左右は空きます。見出しの直下に大きな図を置くときに便利で、本文の幅をそろえやすい形式です。
前面
画像を文字の上に重ねて表示します。装飾的な帯や透かしに使えますが、本文が読みにくくなることがあります。読みやすさを最優先に、重なり範囲を小さく保ちましょう。
背面
画像を文字の下に敷きます。背景として使う形式です。本文のコントラストが落ちやすいので、淡い色や透明度を上げた画像に限定するのが無難です。
狭く(概要と特徴)
画像の輪郭に沿って、文字ができるだけ近づく形式です。細かい形を活かしたいときに有効です。後述の「内部」との違いは、折り返し点の置き方にあります。
内部(概要と特徴)
画像のくびれや空洞の内側へ、文字が入り込める形式です。特殊な形やアイコン的な図で効果を発揮します。折り返し点が内部にも置かれ、複雑な回り込みができます。
形式名 | 主な用途 | テキストとの距離感 | 配置の自由度 | 印刷の安定度 |
---|---|---|---|---|
四角形 | 写真や図版を素早く配置 | 中(枠で回避) | 高(直感的にドラッグ可) | 高(崩れにくい) |
上下 | 大きな図を見出し直下に | 大(左右に余白) | 中(幅に制約) | 高 |
前面 | 装飾・帯・透かし | 可変(重なりに注意) | 高 | 低(文字が読みにくい) |
背面 | 背景画像 | 可変(コントラスト要調整) | 高 | 低(環境差が出やすい) |
狭く | 輪郭を活かす配置 | 小(できるだけ近づく) | 中(折り返し点依存) | 中 |
内部 | くびれ内部まで回り込み | 最小(内側にも侵入) | 中(折り返し点依存) | 中 |
箇条書きと相性がよいのは?
項目が縦に並ぶなら[上下]が整えやすいです。小さなアイコンを混ぜるなら[四角形]か[狭く]が扱いやすいでしょう。
[狭く]と[内部]の違いは[折り返し点]
似た名前の2つですが、仕組みは少し違います。どちらも輪郭を基準にしますが、[内部]は境界線が内側にも入り、くびれや穴にテキストが回り込めます。結果として文字が近づきやすく、行の形も細かく変化します。
折り返し点を表示(手順と注意:外周・内部の見え方)
折り返し点の表示コマンドを使うと、小さな点が現れます。[狭く]では外周に点が並びます。[内部]では外周に加えて内側にも点があり、点を動かすと文字の通り道が変わります。編集後は不自然な尖りがないかを確認し、必要なら点を減らして滑らかにします。
回り込みがガタつくときの対処は?
折り返し点を減らして境界を単純にします。必要なら[四角形]に一時的に戻し、段落を整えてから再度細かい回り込みを設定します。
画像挿入時の既定の形式を変更
毎回の切り替えが面倒なときは、既定の形式を自分用に変えます。まず現在の既定を確認しましょう。新規文書で画像を挿入し、何も触らずに状態を見ます。ここで表示された形式が今の既定です。
Wordのオプションから変更する方法では、画像を挿入したときの既定の回り込みを選べます。標準的には[四角形]か[行内]が扱いやすい選択です。作業内容が固定なら、よく使う形式に合わせておくと時短になります。
既定のレイアウトとして設定する方法もあります。個別の画像に対して、今の配置や回り込みを「標準」として登録し、新しく入れる画像に同じ設定を適用します。テンプレート文書で使うと効果的です。
既定変更は新規画像の挿入方法に影響します。共有文書では、チーム内で合意してから変更しましょう。
既定を元に戻すには?
オプション画面で既定の形式を再選択します。テンプレートを使っている場合は、テンプレート側も合わせて見直します。
— 作業ログ:採用タイトル=図を入れたときの「文字列の折り返し」の種類と配置(既定の変更のしかた)/h2本数=6/推定総文字数=約5,000字