見出し+既定で折りたたみでスッキリ保存する方法

Word 2013以降では、[印刷レイアウト]のまま見出し単位で本文を折りたたみ/展開できます。章立ての多い長文では「必要な章だけ開く」「不要な章は閉じたまま保存する」ことで、読みやすさと編集効率が大きく向上します。本稿では、折りたたみの基本操作から「既定で折りたたみ」の設定、一括適用、表示設定の落とし穴、テンプレート化や共同編集時の注意点まで、実務で役立つポイントを丁寧にまとめます。
折りたたみの仕組みを理解する
折りたたみは「見出しスタイル(見出し1~9)が付いた段落」を起点に機能します。見出しの左に現れる三角アイコンで、その見出し配下の本文・図表・箇条書きを丸ごと隠したり表示したりできます。さらに段落プロパティの[既定で折りたたみ]をオンにすると、文書を閉じても“閉じた状態”を初期表示として保持できます。
基本操作:見出し適用から折りたたみまで
見出しスタイルを適用する手順
- 対象段落内をクリック
- [ホーム]タブ → [スタイル]→ [見出し 1](または目的のレベル)をクリック
- 体裁(フォント・サイズ)は後からスタイル側で一括調整可能
三角アイコンで切り替え
- 見出し上にマウスを重ねると、左側に小さな三角アイコンが表示
- クリックで配下を折りたたみ/再度クリックで展開
- 右クリック → [展開/折りたたみ]からも操作可能
段落先頭の黒い点が気になるとき
編集ガイドの黒点が視認性を下げる場合は、[段落]ダイアログの調整で軽減できます。印刷には出ません。
保存後も閉じたまま:[既定で折りたたみ]を設定
- 対象見出し内にカーソル → [ホーム]→ [段落]ダイアログ
- [インデントと行間隔]タブ → [既定で折りたたみ]にチェック → [OK]
- 以後は「閉じた状態」が初期表示に。編集中は三角アイコンで一時的に展開してもOK
項目がグレーアウトする場合は、その段落が見出しスタイルではない可能性があります。見出しの適用状態を再確認しましょう。
見出しが多い文書での一括適用ワザ
すべての見出しを畳んでから既定化
- 任意の見出しで右クリック → [すべての見出しの折りたたみ]
- 畳んだ見出し群をまとめて選択 → [段落]→ [既定で折りたたみ]をオン
- 例外的に常時表示したい見出しだけ、個別にオフへ
スタイル更新で全見出しへ波及
- 1つの見出しで[既定で折りたたみ]をオン
- カーソルを置いたまま[見出し 1]を右クリック → [選択箇所と一致するように見出し 1 を更新]
- 同レベルの見出しすべてが既定で折りたたみに。新規に適用した見出しにも自動反映
表示設定の落とし穴(開いたら展開されてしまう場合)
- [ファイル]→[オプション]→[詳細設定]→ [構成内容の表示]
- [文書を開くときにすべての見出しを展開する]のチェックを外す
- Word 2016以降は[アクセシビリティ]側にも同名設定があり、いずれかで無効化すればOK
このオプションがオンだと、段落の既定設定は保持されたまま、オープン時だけ強制展開されます。
運用設計:レベル別の折りたたみ方針
レベル運用の推奨例
- 見出し1(章):既定で折りたたみ(章見出し一覧の俯瞰を優先)
- 見出し2(節):原稿量が多い章のみ既定で折りたたみ
- 見出し3以下:編集者・レビュアーの負荷を見ながら個別に設定
ナビゲーションウィンドウと併用
左側のナビゲーションで見出しのドラッグ移動・並び替えが可能です。アウトライン的な組み換えと折りたたみの併用で、長文編集が快適になります。
テンプレート化・共同編集の注意点
テンプレート(.dotx/.dotm)に組み込む
- スタイル側へ[既定で折りたたみ]を反映しておく
- 章立ての雛形(ダミー見出し)を入れておくと適用漏れ防止に有効
共同編集(OneDrive/SharePoint)時の挙動
- 折りたたみの状態は段落プロパティとして保存されるため、共有先でも初期表示に反映
- 閲覧者のローカル設定(すべて展開)が優先される場合がある点に留意
PDF書き出し時は折りたたみ機能そのものは持ち越されませんが、見出しから自動ブックマークを生成して目次の代替にできます。
時短テク:キーボードと検索の活用
ダイアログの素早い呼び出し
- [段落]ダイアログ:Alt → O → P(またはインデントマーカーをダブルクリック)
- [オプション]:Alt → F → T
見出しジャンプと一括選択
- ナビゲーションウィンドウで該当見出しへ即移動
- 同レベルの見出しを一括選択 → [段落]でまとめて既定化
トラブルシューティング
三角アイコンが出ない/折りたためない
- その段落に見出しスタイルが適用されているか確認
- 見出しの直後に「区切り線だけの段落」などがあると、折りたたみ範囲が意図せず短くなることがあるためレイアウトを見直す
既定で折りたたみをオンにしても保存後に展開される
- アプリの[すべての見出しを展開する]設定を無効化(前述)
- 共同編集先の環境差(バージョン・設定)を確認
Mac版Wordでの注意
Word for Mac 2016以降でも見出し折りたたみは利用できますが、メニュー名や配置が異なる場合があります。基本は「見出しスタイルの適用」→「見出し左のアイコンで切替」という流れです。
ベストプラクティス:読みやすさと運用性を両立
- 見出しは簡潔に(検索しやすいキーワードを先頭に)
- 本文は見出し直下に1行空けず配置(折りたたみ境界を視覚的に安定させる)
- レベルの飛ばし(見出し1→見出し3など)は避け、文書構造を素直に
- テンプレートでスタイルと既定設定を標準化し、適用漏れを防止
関連タスクもあわせて効率化
見出しスタイルを整えておくと、目次の自動作成や、PowerPointスライドへのアウトライン取り込みもワンクリックで進みます。目次・PDFしおり・スライド連携など、周辺機能の活用も検討してください。
まとめ:折りたたみを“設計”に組み込む
折りたたみは“あとから畳む”機能ではなく、「見出しで構造化する」「既定で折りたたむ」で“最初から読みやすい文書を設計する”ための仕組みです。スタイルに組み込み、テンプレートで標準化し、表示設定の落とし穴を回避すれば、長文でも迷わない・疲れないドキュメント運用が実現します。今日の原稿から試して、次回以降はテンプレート化してチーム全体の生産性を底上げしましょう。