Wordで図やグラフが動かないように固定する方法(改行してもズレない)
まず結論:図やグラフがズレる原因と、直す方向
Wordで図やグラフ、テキストボックスを入れると、改行しただけで位置がずれることがあります。とくに、あとから文章を足したときに「さっきまで整っていたのに急に崩れた」と感じやすいです。これは多くの場合、図が「文字」と結び付いて動く設定になっているからです。まずは原因を大づかみにして、直す方向を決めると早く解決できます。
図やグラフの配置は、見た目だけで決まっているわけではありません。Wordの中では、図は「行の中に入る(文字の一部になる)」か、「文章の上に乗る(文章とは別に置く)」かで扱いが変わります。前者は文章と一体なので、文章が増えれば図も自然に押し出されます。後者は自由に置ける一方で、図に付く目に見えない“ひも”のようなものがあり、これがずれの原因になります。
たとえば、図の近くで1行追加しただけでも、段落の位置や行間が少し変わり、図がずれて見えることがあります。また、図の周りに文字を回り込ませていると、文字の流れが変わった瞬間に図が押されることもあります。なので「図を固定したい」という悩みは、実は「図と文章の関係をどうするか」を決める悩みでもあります。
ここで最初に決めたいのは2つです。
- 図を文章と一緒に動かしたいのか
- 図をページの同じ場所に置いておきたいのか
この2つが決まれば、設定も選びやすくなります。逆に、ここが決まっていないまま細かい数値をいじると、その場では直ったように見えても、少し編集しただけでまた崩れることがあります。
図が動くのは「文字との結びつき」と「配置」のせい
図がずれる原因は、大きく分けて次の2つです。
- 図が特定の段落に結び付いている(段落が動くと図も動く)
- 図の周りの「文字列の折り返し」が、文章の流れに影響している
たとえば、図が段落に結び付いている状態で、その段落の上に文章を追加すると、段落の位置が下がります。すると図も一緒に下がります。これが「改行したら動いた」の正体です。見た目では図だけが動いたように見えても、実際は“つながっている段落”が動いていることが多いです。
また、図の周りに文字を回り込ませる設定(折り返し)を選んでいると、文章が増えたときに回り込みの形が変わり、結果として図が押されて移動することもあります。回り込みの影響は、図の左寄せ・右寄せ、図の大きさ、段落の幅(余白)などでも変わります。
もう少し具体的に言うと、次のような場面でずれが起きやすいです。
- 図の直前の段落に、あとから文章を追加した
- 見出しの前後の間隔(段落設定)が大きく、編集で間隔が変わった
- 図がページの端ギリギリにあり、回り込みが不安定になった
- フォントや用紙サイズが変わり、改行位置が変わった
こうしたケースでも、原因が分かっていれば慌てずに直せます。大事なのは「図が勝手に動く」というより「図が何かに影響されて動いている」と捉えることです。
まず決めるのは2択:文字と一緒に動かす/ページに固定する
図の扱いは、次の2択で考えると分かりやすいです。
| 選び方 | どんな動き方 | 向く例 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|
| 文字と一緒に移動する | 段落が動くと図も動く | 文章の近くに必ず置きたい図、説明用の小さな画像 | 追記すると下にずれることがある |
| ページ上で位置を固定する | ページの同じ場所に残る | レイアウトを崩したくない図、定位置のロゴや注釈枠 | 文章との距離が変わることがある |
「どちらが正しい」という話ではなく、資料の目的で選びます。たとえば、手順書で図を説明文のすぐ横に置きたいなら「文字と一緒に移動」が便利です。逆に、ページの左上にロゴを置くなど、場所を守りたいなら「ページ上で位置を固定」が向きます。
また、迷うときは「読んでほしい相手の読み方」を想像すると決めやすいです。
- 文章を上から順に読む資料:図も文章と一緒に流れる方が読みやすい
- 1ページ完結のレイアウトを守りたい資料:図はページに固定した方が崩れにくい
ここまでで方向が決まったら、次の章からは具体的な設定に入ります。
いちばん多い悩み:Wordに貼り付けたグラフがズレる
ExcelのグラフをコピーしてWordに貼り付けると、改行や追記で位置が動くことがあります。グラフはサイズが大きくなりやすく、文字の回り込みの影響も受けやすいので、最初にここを押さえると安心です。
ここでは、よく使われる設定である「文字列の折り返し(四角)」を中心に、ズレを減らすための最小セットを紹介します。
「文字列の折り返し(四角)」がよく使われる理由
折り返し(四角)は、図の外側を四角い枠として扱い、その周りに文章が回り込みます。グラフや画像の周りに文字を置きやすく、見た目も整えやすいのでよく選ばれます。
ただし、折り返しがあるということは、文章の増減で回り込みの形が変わる可能性があるということです。つまり、設定が合っていないと、追記したときに図が押されたり、急に場所が変わったりします。
「四角」を選ぶときは、次の点を意識すると失敗が減ります。
- 図を“文章の流れの中”に置くのか、“文章とは別”に置くのか
- 図の位置をページで守りたいのか、段落に合わせたいのか
改行や追記でズレないようにする最小セットの設定
貼り付けたグラフがずれるときは、次の順で確認すると分かりやすいです。
- グラフをクリックして選択する
- 右上や横に出る「レイアウト オプション」を開く(出ない場合は右クリックでも可)
- 「文字列の折り返し」を確認する
- 目的に合わせて「位置」を決める(固定か、一緒に移動か)
最小セットとしては、次のように考えるとよいです。
- 説明文のすぐ近くに置きたいグラフ:折り返しは「四角」や「外周」、位置は「文字列と一緒に移動」
- ページの見た目を守りたいグラフ:折り返しは「四角」でもよいが、位置は「ページ上で位置を固定」
このとき、グラフの位置が思った場所に来ない場合は、まず折り返しを「行内」にしてから、もう一度目的の折り返しに戻すと整うことがあります。行内は“文字の一部”として扱われるため、一度リセットのような効果が出ることがあるためです。
文字の回り込みが変になるときの直し方
折り返しを「四角」にすると、文字が変な場所に回り込んだり、行間が不自然に広がったりすることがあります。よくある原因と対策は次の通りです。
- 図が本文の途中に中途半端に入っている:図の前後に段落を分ける(図の前でEnter、図の後でもEnter)
- 図が本文の左端や右端に寄っている:図をドラッグして少し内側に寄せる
- 文字が図の下に回り込まず空白ができる:折り返しを「外周」や「上下」に変えて見比べる
見た目を整えるときは、いきなり細かい数値をいじるより、折り返しの種類を変えて比較する方が早いことが多いです。
改行しても移動させたくないときの本命手順
ここでは「改行しても図を動かしたくない」「ページの同じ場所に置きたい」という目的で進めます。Wordを使って資料を作るとき、この悩みはとても多く、特に文章量が増えた段階で一気に表面化しやすいです。ポイントは、図をページに固定しつつ、必要なら位置を微調整できる状態にしておくことです。そうすることで、あとから文章を追加しても、全体のレイアウトが大きく崩れにくくなります。
また、「固定する」と聞くと完全に動かなくなるイメージを持つかもしれませんが、実際にはそうではありません。Wordでは、図は必ず何らかの基準(段落やページ)と関係を持っています。そのため、固定の仕組みを理解したうえで設定することが大切です。ここを押さえておくと、トラブルが起きたときにも原因を見つけやすくなります。
ただし、固定したい理由は人によって違います。印刷したときにレイアウトを守りたい場合もあれば、社内のテンプレートで図の位置を毎回同じに揃えたい場合もあります。中には「上司や取引先に渡す資料なので、見た目が1ミリも動いてほしくない」というケースもあるでしょう。ここでは、そうしたさまざまな目的に対応できるよう、どちらにも効く基本手順と、うまくいかないときの確認ポイントをまとめます。
ページ上で位置を固定する(基本手順と確認ポイント)
まずは基本手順です。操作自体は難しくありませんが、順番を間違えると目的の項目が表示されないことがあります。
- 固定したい図(グラフ、画像、テキストボックス)をクリックして選ぶ
- 「文字列の折り返し」を「四角」など、行内以外にする(行内のままだと固定の項目が出ないことがある)
- 「ページ上で位置を固定する」を選ぶ
この3ステップで、図はページを基準に配置されるようになります。ただし、ここで大事なのは、固定しても「図はどこかの段落に結び付いている」という点です。完全に宙に浮いているわけではなく、あくまで段落との関係を持ったままページに固定されます。
そのため、結び付いている段落が大きく動くと、思わぬ位置に見えることがあります。「固定したのに少し動いた気がする」と感じる場合は、この仕組みが影響していることが多いです。固定をより安定させたいときは、次の確認もしてみてください。
- 図の近くにある段落が、不要に空行だらけになっていないか
- 見出しや段落の設定(間隔)が大きすぎず、統一されているか
- 図のアンカーが想定外の段落に付いていないか
アンカーは後の章で詳しく説明しますが、簡単に言うと「この図はこの段落に結び付いています」という目印です。アンカーの位置を意識するだけでも、図の動きはかなり予測しやすくなります。
「文字列と一緒に移動する」を選ぶべき場面(例つき)
ページ固定はとても便利ですが、いつでも最適とは限りません。資料の内容や読み方によっては、「文字列と一緒に移動する」設定の方が、結果的に分かりやすくなることもあります。
次のような資料では「文字列と一緒に移動する」が向くことがあります。
- 画像が説明文のすぐ近くに必要で、図と文章が離れると意味が通じにくい
- 手順番号に合わせて、図も必ず同じ順番で並んでほしい
- 途中に文章を挿入したとき、図も自然に下に流れてほしい
たとえば、手順1の説明の右に画像を置いている場合を考えてみてください。ここでページ固定を使うと、手順1の文章が増えたときに文章だけが下に伸び、図が元の位置に残ってしまうことがあります。結果として、図と説明が離れてしまい、読む人は「どの図の説明なのか」を探さなければなりません。
このような場合は、「文字列と一緒に移動」にしておく方が、文章と図の関係が保たれ、読み手にとって親切な資料になります。レイアウトの安定だけでなく、読みやすさも含めて判断するのがポイントです。
固定しても動くときのチェック(段落・余白・表・セクションなど)
「ページ上で固定」にしたのに、まだ動くように見えることがあります。この場合、原因は“図そのものの設定”ではなく、周りのレイアウトの変化であることが多いです。まずは落ち着いて、次のような項目を一つずつ確認してみてください。
- 段落の間隔が自動で広がっていないか(特に見出しの前後の間隔)
- ページ設定(余白、用紙サイズ、向き)が途中で変わっていないか
- 表の中に図を入れていないか(表は行の高さが変わると一緒に動く)
- セクション区切りや段組みが入っていないか(別のレイアウト規則が働く)
特に多いのは表の中に図を入れているケースです。表のセル内に図を置くと、文章が増えたときにセルの高さが変わり、その影響で図も一緒に動きます。これは仕様に近い動きなので、完全に防ぐのは難しいです。表の中に置く必要がある場合は、表の行の高さを固定する、図をセルいっぱいに広げない、といった別の工夫が必要になります。
また、プリンターやPDFでずれる場合は、フォントの違いが原因になることもあります。別のPCで開いたときに文字幅が微妙に変わると、改行位置が変わり、結果として回り込みの形が変わります。これは設定ミスではない場合も多いので、「なぜ起きるのか」を知っておくだけでも安心です。詳しい対処の考え方は、後のFAQでも触れます。
「文字列の折り返し」をやさしく整理(種類・おすすめ・使い分け)
折り返しは種類が多く、名前も分かりづらいです。ただ、全部を覚える必要はありません。まずは「よく使うもの」と「避けたい場面」を押さえると十分です。
とはいえ、設定名だけを見てもイメージしにくいことがあります。ここでは「何がどう変わるのか」を先に押さえて、必要なときに思い出せるようにします。折り返しは、図が動くかどうかだけでなく、文章の読みやすさや、余白の見え方にも影響します。
たとえば、同じ「四角」でも、図を左寄せにするのか右寄せにするのかで、文字の回り込み方が変わります。また、図のサイズが大きいほど、回り込む場所が減り、思わぬ空白が出ることもあります。だからこそ、まずは基本の考え方を押さえておくと安心です。
ここでは、よく出てくる折り返しの違いを、ざっくり理解できるようにまとめます。
折り返しの種類をざっくり理解する(難しい言葉はかみ砕く)
折り返しは、簡単に言うと「図と文字をどう重ねるか、どう回り込ませるか」の設定です。もう少し言うと、次の2つを決めるスイッチだと思うと分かりやすいです。
- 文字が図の横に回り込んでよいか(横に回す/上下だけにする)
- 図が文字の前後に重なってよいか(重ねる/重ねない)
代表的なものを表にします。
| 種類 | 特徴 | 向く場面 | ズレにくさの目安 |
|---|---|---|---|
| 行内 | 図が文字の一部になる | 小さなアイコン、文章中に自然に入れたい | 高い(文章に合わせて動く) |
| 四角 | 図を四角い枠として回り込み | 一般的な画像、グラフ | 中(回り込みで変化しやすい) |
| 外周 | 図の形に合わせて回り込み | 形が特殊な画像 | 低〜中(回り込みが崩れやすい) |
| 上下 | 図の上下に文字を置く | 図を独立させたい資料 | 高め(回り込みが少ない) |
| 前面/背面 | 文字の上に重ねる/下に置く | 図形の重ね合わせ、注釈の吹き出し | 低(編集で崩れやすい) |
表だけだとピンと来ない場合は、次のように短くイメージすると覚えやすいです。
- 行内:文章の「一文字」みたいに扱う
- 四角:図の周りに「四角い立ち入り禁止エリア」を作る
- 外周:図の形に沿って「立ち入り禁止エリア」を作る
- 上下:図の上と下にだけ文章を置く
- 前面/背面:図と文章を「重ねる」
「ズレにくさ」は、ページ固定かどうかでも変わりますが、初心者の方はまず「行内」「四角」「上下」を中心に使うと安定しやすいです。
また、折り返しを選ぶときは、図の種類でも相性があります。
- 写真やスクリーンショット:四角、上下が使いやすい
- 棒グラフや折れ線グラフ:上下にすると崩れにくいことが多い
- ロゴや小さなアイコン:行内で文章になじませやすい
迷ったときのおすすめ(基本はこれ、例外はこれ)
迷ったときの考え方はシンプルです。
- 文章の流れを崩したくない:まず「行内」
- 図の横に文章を置きたい:次に「四角」
- 図を独立させて読みやすくしたい:「上下」
特にグラフは大きくなりがちなので、「上下」にしてしまうと安定することが多いです。図の下に説明文を置きたい資料にも向きます。
ただ、例外もあります。たとえば、グラフが小さく、本文の右側に寄せて説明文を左に置きたい場合は「四角」が便利です。逆に、図が大きくて横に回り込むスペースがほとんどない場合は、四角より上下の方が読みやすくなります。
また、見た目を整えるときは、次の順で試すと手戻りが少ないです。
- まず「行内」で落ち着くか確認する
- 次に「四角」にして、文字の回り込みを確認する
- 空白が気になるなら「上下」にして、読みやすさを優先する
一方で「外周」や「前面」は、見た目は自由になりますが、編集途中で崩れやすいことがあります。たとえば、少し文章を足しただけで回り込みの形が変わり、空白が増えたり、文字が読みづらい場所に入り込んだりします。慣れないうちは、必要なときだけ使う方が安心です。
インライン(行内)配置の特徴と、ズレやすさの考え方
行内(インライン)は、図が文字と同じ扱いになります。文章を追加したら図も一緒に動くので、「改行で勝手に飛ぶ」という意味では一番トラブルが少ないです。文章の流れに素直に従うので、あとから編集しても挙動が読みやすいのが強みです。
ただし、行内は自由な位置に置きにくいという欠点もあります。右上に置きたい、余白に置きたい、といった場合は行内では難しいです。また、行内だと段落の中央や右側にぴったり置きたい、という見た目の調整がやりにくいこともあります。
このため、行内で目的を満たせないときに「四角」などの折り返しを使い、さらに「ページ固定」か「一緒に移動」を選ぶ流れになります。
- 図の位置をきっちり守りたい:ページ上で位置を固定する
- 図と説明文の関係を守りたい:文字列と一緒に移動する
「折り返し」と「位置」の2つはセットで考えると、同じ問題に何度も悩みにくくなります。
毎回の手間を減らす:図を挿入したときの既定(デフォルト)を変える
毎回、図を挿入するたびに折り返しを直すのが面倒なことがあります。たとえば、毎回「四角」にしたいのに、いつも「行内」になってしまう、といったケースです。ほかにも「図を入れるたびに右側に寄ってしまう」「説明文と図の間のすき間が毎回バラバラになる」など、小さなストレスが積み重なることがあります。
こういうときは、図を挿入したときの既定(デフォルト)を見直すと、作業がかなり楽になる場合があります。いちど整えてしまえば、以降は“毎回の直し”が減り、レイアウトの揺れも少なくなります。
また、既定を整えると、チーム内で資料の作り方をそろえやすくなります。「この資料は基本、図は四角で回り込み」「グラフは上下で独立」など、ルールを決めておくと、後から編集する人も迷いにくいです。
既定(デフォルト:最初の設定)って何?どこに効く?
既定(デフォルト)とは、何も設定を変えないときに自動で選ばれる初期設定のことです。Wordでは、図を挿入したときの折り返しが既定で決まっている場合があります。つまり、最初の一手が「行内」なのか「四角」なのかで、あとからの手直し量が大きく変わります。
ただし、既定の効き方は状況で変わります。
- この文書だけの設定として効く場合
- PC(Word)の設定として効く場合
- テンプレートに依存する場合
そのため、設定を変えたのに別の文書では効かない、ということも起こります。ここは「そういうことがある」と知っておくだけでも、混乱が減ります。
また、資料をコピーして別ファイルにしたときは「元の文書の設定が引き継がれる」こともあります。逆に、新規作成した文書だと「PC側の既定」になることもあります。どこが基準になっているかは状況しだいなので、うまくいかないときは「文書が違う」「テンプレートが違う」という点も疑ってみるとよいです。
図を挿入したときの既定を変更する流れ(やることの全体像)
やることの流れは、次のようにイメージすると分かりやすいです。大事なのは「まず1つ、理想の形に整えた図を作る」ことです。
- 図を選択して「レイアウト」や「折り返し」の設定を開く
- 目的の折り返し(例:四角)を選ぶ
- 位置の方針も決める(ページ固定か、一緒に移動か)
- 既定として使う設定を変更する(設定画面で選べる場合がある)
既定を変えるのが難しいときは、最低限「よく使う配置の形」を自分の中で決めておくのも効果があります。たとえば「写真は四角+一緒に移動」「グラフは上下+ページ固定」などです。毎回同じ手順で整えれば、資料の見た目が安定し、ズレの原因も減らせます。
Wordのバージョンや設定によって、既定の変更方法や表示が少し違うことがあります。もし画面が違って見えたら、「折り返しの設定」「図のレイアウト」などの言葉で該当する設定画面を探すと見つけやすいです。
さらに、既定の変更が見つからない場合でも、次のような考え方で対処できます。
- テンプレートで整える(最初から望む形の文書を用意する)
- サンプルの図を1つ置いておき、それを複製して使う
- いつも使う図は、いったん「行内」に戻してから整える手順を固定する
「既定を変える=どこかの設定を1回だけ触る」と思いがちですが、実務では“運用で安定させる”ことも十分な解決になります。
既定を変えるときの注意点(文書ごと/PCごとの違いの考え方)
既定を変えると便利ですが、次の点には注意が必要です。
- 別のPCで作業すると、既定が違うことがある
- 会社のテンプレートや共同編集では、既定を変えない方がよい場合がある
- 途中から既定を変えると、過去に挿入した図には反映されないことがある
特に共同作業の資料では、勝手に設定を変えると、他の人の見た目が崩れることがあります。既定変更は、個人用の資料や自分専用のテンプレートで使うのが無難です。
また、共同編集では「誰かが図を動かしたつもりはないのに、結果的に動いて見える」ことがあります。これは、編集者ごとの環境差(フォント、プリンター、画面倍率など)で、改行位置や回り込みが変わるためです。既定を整えるだけでは防ぎ切れないこともあるので、最終版では印刷プレビューやPDFで確認する、といった運用もセットにすると安心です。
最後に、既定を変える前に確認しておくとよいことをまとめます。
- この文書はテンプレートから作ったか(テンプレートが基準になることがある)
- 共有する相手も同じ環境か(完全一致は難しい)
- 途中でルールを変える必要はあるか(過去の図との混在が起きる)
既定の調整は、細かい作業に見えて、実は「資料全体の安定」を作るための土台です。無理のない範囲で、使うルールを決めていくと作業が楽になります。
設定場所で迷わない:[書式]タブの[文字列の折り返し]と[レイアウト]
Wordは、同じ設定にたどり着く入り口がいくつかあります。どこから開いても、最終的に同じ「レイアウト」詳細画面につながることが多いです。
ここでは、よく使う入り口をまとめます。
[文字列の折り返し]からできること(入口)
図を選択すると、上部のリボンに図の操作が出ます。そこに「文字列の折り返し」があり、ここから折り返しの種類を選べます。
また、図の横に小さなボタン(レイアウト オプション)が出る場合は、それを開くと同じような選択肢が見えます。まずはこの入口を使うと迷いにくいです。
[レイアウト]ダイアログとつながっているポイント(詳細)
折り返しの種類を選ぶだけなら入口で十分ですが、位置の固定や細かい間隔の調整は、詳細画面(レイアウト)で行うことがあります。
詳細画面では、たとえば次のような項目が関係します。
- 位置(ページ固定か、一緒に移動か)
- 文字との間隔(図の周りの余白)
- 図の配置(左右のどちらに寄せるか)
ここで数値を変えると見た目が大きく変わることがあります。最初は小さく変更して、変化を確認しながら進めると失敗しにくいです。
「ページ上で固定/一緒に移動」の切り替え場所まとめ
位置の切り替えは、図の設定の中にあります。
- 「文字列と一緒に移動する」:段落の動きに合わせたいとき
- 「ページ上で位置を固定する」:見た目を守りたいとき
もしこの選択肢が見つからない場合は、図が「行内」になっている可能性があります。行内だと、そもそもページ固定の考え方が使えないためです。その場合は、折り返しを一度「四角」などに変えてから探してみてください。
アンカー(いかりマーク)と情報マークの意味
図を触っていると、いかりのようなマーク(アンカー)や、情報マークが見えることがあります。これらは、図の動き方を理解するうえで大事なヒントになります。
「何か警告が出ているのでは」と不安になるかもしれませんが、仕組みを知れば落ち着いて対処できます。
アンカー(いかりマーク)とは?どこに付いて、何を示す?
アンカーは、図が「どの段落に結び付いているか」を示す目印です。図を選択したときに、ページの左側あたりに表示されることがあります。
アンカーがあるということは、図は完全に独立しているわけではなく、どこかの段落にひも付いている、ということです。段落が大きく移動すると、図も影響を受けることがあります。
アンカーの見方のポイントは次の通りです。
- アンカーが付いている段落の位置を確認する
- 図を動かすとアンカーの位置が変わる場合がある
- アンカーが遠い場所に付いていると、意図しない動きになりやすい
図の近くの段落にアンカーが付くようにすると、動きが予想しやすくなります。
情報マークのポップヒントで分かること(よく見る文言の意味)
情報マークは、図の配置についての説明を表示するためのものです。マークに触れると、短い説明(ポップヒント)が出ることがあります。
ここで見かける言葉としては、次の2つが代表的です。
- 文字列と一緒に移動する
- ページ上で位置を固定する
つまり、今その図がどちらの動き方になっているかが分かります。「設定したはずなのに動く」と感じたときは、まずこの表示で今の状態を確認すると、原因の切り分けがしやすいです。
ポップヒントの表示スタイルは切り替えできる(ざっくり)
ポップヒント(ヒント表示)は、見た目や表示のされ方を切り替えられる場合があります。たとえば、ヒントを出さない設定にしていると、情報が見えにくくなります。
ただし、設定の場所はWordのバージョンで違うことがあります。もしヒントが出なくて困る場合は、「オプション」「表示」「ヒント」などの設定を探すと見つけることがあります。
よくある質問(FAQ):この場面はどっちが正解?
最後に、よくあるケースをQ&A形式でまとめます。自分の状況に近いものから試してみてください。もし複数に当てはまる場合は、いちばん「崩れやすい場所」から順に見直すと、原因を切り分けやすいです。
表の中に入れた図がズレるときは?
表の中に図を入れると、表の行の高さが変わったときに、図も一緒に動くことがあります。これは表が「文字の入れ物」なので、内容が増えるとサイズが変わるためです。表は文章の量に合わせて伸び縮みしやすく、図を入れるとその影響が目立ちます。
また、表の中では「行内(インライン)」になっていることが多く、ドラッグで動かしたつもりでも、実際はセルの中で位置が変わっただけ、ということもあります。まずは「表の中に置く必要が本当にあるか」を考えると、解決が早いです。
対策としては次の順で考えるとよいです。
- 表の外に図を出せないか検討する(表は崩れやすい場所なので、外に出せると安定しやすい)
- 図を表の外に置き、表の近くに配置する(必要ならページ固定。説明文とセットなら一緒に移動)
- どうしても表の中なら、行の高さやセルの設定を見直す
表の中に置くしかない場合は、次の点もチェックすると改善することがあります。
- セル内の余白が大きすぎないか(セルの余白が大きいと行が伸びやすい)
- 行の高さが「最小値」になっていないか(文章が増えると伸びる)
- 図のサイズがセルに対して大きすぎないか(少し小さくするだけで安定することがある)
ヘッダー/フッター、段組み、図が多い資料は?
ヘッダーやフッターに入れる図は、本文とは別の領域で動きます。本文の設定をいじっても思い通りにならないことがあるので、まず「ヘッダー編集」「フッター編集」の画面で操作しているかを確認してください。特に「ロゴがずれる」「ページ番号の近くの図が動く」といった場合は、本文ではなくヘッダー/フッター側に原因があることが多いです。
段組み(新聞のような2段表示)では、文章の流れが複雑になります。図を段の途中に入れると崩れやすいので、まずは「上下」折り返しにして段の外側に置くなど、安定する置き方を試すのが安全です。段の途中に小さな図を入れたい場合でも、いったん「行内」で試してから、必要に応じて四角にする方が失敗が減ります。
図が多い資料では、次のように統一すると混乱が減ります。
- 説明文に近い図は「文字と一緒に移動」(図と文章の関係を守る)
- レイアウトを守りたい図は「ページ上で固定」(ロゴや注釈枠など)
- 折り返しは基本「四角」か「上下」に寄せる(前面/背面は必要なときだけ)
さらに、資料が長くなるほど「ルールの統一」が効いてきます。たとえば次のように決めておくと、後から直す量が減ります。
- グラフは基本「上下」にする(回り込みの影響を減らす)
- 写真は基本「四角」にする(本文の横に説明を置きやすい)
- 注釈の吹き出しだけ「前面」を使う(用途を限定する)
印刷やPDFでズレる/他のPCで開くとズレる理由は?
印刷やPDFでずれる、別のPCで開くとずれる原因として多いのは、次のような違いです。
- フォントが同じでも、環境で文字幅が少し変わる(結果として改行位置が変わる)
- 既定のプリンターが違い、改行位置が変わる(印刷用の計算が変わることがある)
- 用紙サイズや余白の設定が一致していない(A4とLetterなど)
ほかにも、画面倍率が違うだけで「ずれたように見える」ケースもあります。まずは印刷プレビューやPDFで、実際の出力に近い状態を確認すると安心です。
この場合は、図の設定だけで完全に止めるのが難しいことがあります。対策としては、折り返しを「上下」にして回り込みの影響を減らす、図をページ固定にする、文書の設定(用紙サイズや余白)を合わせる、といった方向で安定させます。
また、共有前にできるチェックとしては次が有効です。
- 重要な図は「上下」にして、回り込みを減らす
- 仕上げに一度PDF化して、ズレがないか確認する
- 共同作業なら、用紙サイズと余白を最初に決めて統一する
共有前にPDFにして配布する場合は、完成後に必ず印刷プレビューやPDFで確認し、ズレがないかチェックするのが安心です。