ExcelのIFS関数で「それ以外」を返す方法(TRUEで締める理由と実務テンプレ)
はじめに
この記事では、ExcelのIFS関数で「それ以外」を安全に返す書き方を、理由と実務テンプレまで含めて整理します。
IFSは便利ですが、最後の条件を入れ忘れると想定外のデータで結果が崩れやすいです。
条件分岐の式は小さなミスが結果の誤判定につながるので、考え方から順に押さえます。
本記事は「どう書くか」だけでなく、「なぜその書き方が安全か」もセットで扱います。
この記事で解決できること
IFS関数で最後の条件に何を書けばよいかが分かります。
「それ以外」を入れないと何が起きるかが分かります。
TRUEを置く位置と、デフォルト値を決めるコツが分かります。
条件の順番をどう決めれば誤判定を防げるかが分かります。
空白や文字列などの想定外データで崩れない作り方が分かります。
境界値の扱いを間違えないためのチェック方法が分かります。
テスト用の代表値を用意して結果確認する手順が分かります。
IFとIFSとSWITCHの使い分けの目安が分かります。
数式が長くなり過ぎたときに別設計へ逃がす判断が分かります。
想定する読者と前提
Excelの基本操作と数式入力ができる人を想定します。
IFS関数を一度は使ったが、最後の条件で迷った経験がある人を想定します。
複数条件の判定や、分類ラベル付けの作業をしている人を想定します。
同じ分類を繰り返し使うために、式を壊れにくく保ちたい人を想定します。
結論:IFSの最後はTRUEで「それ以外」を受け止める
IFSの最後にTRUEを置くと、どの条件にも当てはまらないデータをまとめて拾えます。
IFSは上から順に条件を見て、最初にTRUEになった結果を返す関数です。
そのため最後にTRUEを置けば、そこまでで拾えなかったものが必ずTRUEに当たります。
「それ以外」が必要なときは、最後をTRUEにしてデフォルト値を返すのが最も分かりやすい型です。
この型を先に固定すると、条件追加や仕様変更が来ても崩れにくくなります。
最後にTRUEを置く基本形
基本形は、最後の条件にTRUEを入れて、最後の結果に「それ以外」の戻り値を書きます。
戻り値は、分類名だけでなく、確認用の合図や後工程に渡すコードでも構いません。
例として、A2の点数でランクを返す形は次のようになります。
=IFS(A2>=80,”A”,A2>=60,”B”,A2>=40,”C”,TRUE,”D”)
この式は、A2が80以上ならAを返し、60以上ならBを返し、40以上ならCを返し、それ以外はDを返します。
境界値を含めるかどうかは、>=と>の選び方で決まります。
1行でわかるコピペテンプレ
とにかく「それ以外」を入れたいだけなら、最後をTRUEにして戻り値を決めるだけで十分です。
=IFS(条件1,結果1,条件2,結果2,TRUE,それ以外の結果)
「それ以外の結果」には、文字列だけでなく数値や空文字も入れられます。
デフォルトを空文字にするかどうかは、後から検出したいかどうかで決めます。
IFS関数の基本(最低限だけ)
IFSは複数のIFを1つの式にまとめて、読みやすくしたいときに使います。
IFの入れ子を減らすことで、括弧の数え間違いも起きにくくなります。
ただし読みやすさは、条件の並べ方と命名の工夫で決まります。
条件の意味が曖昧なままだと、IFSにしても結局読めない式になります。
IFSの構文と判定の流れ
IFSの構文は、条件と結果の組を並べる形です。
IFS(条件1,結果1,条件2,結果2,条件3,結果3,…)
条件は必ずTRUEかFALSEになる式にします。
IFSは上から順に条件を評価して、最初にTRUEになった結果を返します。
上の条件で拾ったものは、下の条件に到達しません。
この挙動を前提に、上ほど優先度が高い並びにします。
条件を足すときは、既存条件との重なりを必ず確認します。
重なりがあるなら、意図した優先順位になっているかをテストで確かめます。
IF関数との違い(複数条件の見え方)
IFは入れ子にすると、括弧が増えて読みづらくなりがちです。
IFSは条件と結果が交互に並ぶので、条件の並びを目で追いやすいです。
ただしIFSも条件数が増えると長くなるので、保守性を意識した整理が必要です。
同じ条件を何度も書くなら、先に補助列で判定フラグを作る方法もあります。
式が長くなったら、列を分けて中間判定を作る方法もあります。
中間判定を作ると、どの条件でつまずいているかを追いやすくなります。
いつIFSより別関数が向くか(概要)
値が完全一致の分岐が中心ならSWITCHの方が短くなることがあります。
分岐ラベルが固定で、追加や削除が少ない場合は特に向きます。
複雑な条件で分岐するならIFSが向きます。
範囲条件やAND条件が混ざる場合は、IFSの方が自然に表現できます。
条件分岐そのものを避けられるなら、参照表を作ってXLOOKUPなどで引く方が保守しやすい場合があります。
参照表にすると、分類ルールを数式ではなく表として管理できます。
同じ分類を複数シートで使うなら、参照表方式の方が一括修正が楽です。
分類ルールが頻繁に変わる現場ほど、参照表方式のメリットが大きいです。
手順:IFSで「それ以外」を設定する(失敗しない型)
IFSの式を安定させるコツは、条件の並び方と例外データの扱いを先に決めることです。
この2点が曖昧だと、式が動いていても結果の意味がぶれます。
式を先に書き始めるより、判定ルールを文章で整理してから組む方が速いことが多いです。
特に境界値と例外値の扱いは、先に決めておくほど修正が少なくなります。
ステップ1:条件を上から並べるルールを決める
IFSは最初にTRUEになった条件が勝つので、上に置くほど優先度が高い設計になります。
この性質は便利ですが、並べ方を間違えると結果が静かに誤ります。
重なり得る条件を下に置くと、意図せず上の条件で拾われてしまいます。
範囲条件は、広い条件を下に、狭い条件を上に置くのが基本です。
例えば「80以上」「60以上」「40以上」のように上から大きい順に並べると、判定が自然になります。
境界値がどの区分に入るかは、>=と>のどちらを選ぶかで変わります。
迷ったら、極端な値を入れて結果が想定どおりかを確認します。
境界の近くにある代表値も入れて、意図したランクに入るかを確かめます。
ステップ2:最後にTRUEを置いてデフォルトを返す
最後にTRUEを置くと、条件漏れや想定外データをまとめて処理できます。
これは「最後に必ず当たる受け皿」を作る設計だと考えると分かりやすいです。
デフォルトは「不明」「要確認」「その他」など、業務上安全な値にします。
デフォルトが空文字でもよいケースはありますが、後工程で見落としやすい点に注意します。
後で必ずチェックする運用なら、空文字より要確認の方が見つけやすいです。
確認が必要なデータを確実に拾うなら、デフォルトを目立つ文字列にするのも手です。
ステップ3:想定外データに備えた戻り値を決める
空白や文字列が入る可能性がある列は、先に「入力のゆれ」をどう扱うかを決めます。
入力のゆれを放置すると、式の正しさ以前にデータ品質で結果が壊れます。
数値として扱えない値が来るなら、デフォルトで「要確認」を返して後でフィルタする方が事故が減ります。
0が意味を持つ列なら、空白と0が混ざっても判定できるように条件を分けます。
エラー値が来る可能性があるなら、IFERRORで包むか、エラーを出す前段の式を見直します。
エラーを隠すのではなく、要確認に落として検出しやすくする設計も選べます。
作業者が複数いる場合は、デフォルトの意味をチーム内で共有します。
共有しておくと、後から「要確認」の行をどう処理するかが揃います。
実務テンプレ3選(そのまま使える例)
ここでは、よくある分類作業を「IFS+TRUE」で安全に締める例をまとめます。
例はそのまま使えるようにしていますが、境界値とデフォルトの意味は必ず自分の業務に合わせます。
例1:評価ランク(A/B/C/それ以外)
点数が入るセルA2を基準に、AからCを返し、それ以外をDにする例です。
=IFS(A2>=80,”A”,A2>=60,”B”,A2>=40,”C”,TRUE,”D”)
境界値が含まれるかどうかは、>=と>のどちらを使うかで決まります。
境界値の扱いを仕様として決めてから式に落とします。
点数が未入力の可能性があるなら、最後を「要確認」にするのも手です。
例2:売上区分(閾値で判定してそれ以外を返す)
売上が入るセルB2を基準に、区分名を返す例です。
=IFS(B2>=1000000,”大口”,B2>=300000,”中口”,B2>=1,”小口”,TRUE,”未入力/要確認”)
0や空白が混ざる列なら、最後のデフォルトで「未入力/要確認」を返すと確認が楽になります。
0が意味を持つ列なら、0専用の条件を入れて扱いを分けます。
例3:日付区分(四半期・上期下期などの分類)
月が入るセルC2から、上期と下期を返す例です。
=IFS(C2>=4,C2<=9,”上期”,C2>=10,C2<=3,”下期”,TRUE,”要確認”)
このままだと条件の書き方が不正なので、範囲条件はANDを使うか、比較を分けて設計します。
正しい例は次のように、ANDを使って範囲を1つの条件にします。
=IFS(AND(C2>=4,C2<=9),”上期”,AND(C2>=10,C2<=12),”下期”,AND(C2>=1,C2<=3),”下期”,TRUE,”要確認”)
日付から月を取り出す場合は、MONTH関数で月番号を作ってから判定すると見通しが良くなります。
四半期を作りたい場合は、月番号から四半期番号を計算してからラベル化すると楽です。
よくあるミスと対処(薄さを潰すチェックポイント)
IFSがうまく動かない原因は、条件の重なりと、データのゆれに集中します。
ミスを先に知っておくと、式のテストにかける時間が減ります。
ミス1:条件の順番が逆で想定外が発生する
広い条件を上に置くと、下の条件が永遠に当たりません。
例えば「60以上」を上に置いて「80以上」を下に置くと、80以上がすべて60以上で拾われます。
必ず優先順位が高い条件を上に置きます。
条件を追加したときは、既存条件の上か下かを意識して入れ替えも検討します。
ミス2:空白・文字列・エラー値で意図しない結果になる
空白が0として扱われるかどうかは、式の形やセルの状態で揺れることがあります。
文字列の数値が混ざる列は、VALUEで数値化するか、デフォルトで要確認に落とします。
エラー値が混ざる可能性があるなら、IFERRORで包んで全体を止めない設計にします。
エラーを隠すのではなく、要確認へ落とす設計も選択肢になります。
ミス3:最後にデフォルトを入れずに取りこぼす
IFSはどの条件もTRUEにならないと、エラー相当の状態になります。
この取りこぼしがあると、後工程の集計やフィルタが崩れます。
最後にTRUEを置いて、必ず何かを返す形にします。
取りこぼしを検出するために、デフォルトを目立つ値にする運用も有効です。
IF / IFS / SWITCH の使い分け(比較で理解を固定する)
関数は正解が1つではないので、選ぶ基準を決めると迷いが減ります。
同じ結果が出る式でも、読みやすさと保守のしやすさで選ぶと事故が減ります。
使い分け早見表(判断軸:可読性・条件数・保守性)
次の表は、よくある分岐パターンでの向き不向きをまとめたものです。
範囲条件か完全一致かを意識すると、選択がぶれにくくなります。
| 関数 | 向いている分岐 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| IF | 条件が1〜2個程度 | 単純で短い | 入れ子が増えると読みにくい |
| IFS | 範囲条件や複数条件が多い | 条件の並びが見える | 条件順の設計が重要 |
| SWITCH | 完全一致の分岐が多い | 式が短くなりやすい | 範囲条件には向かない |
表のとおり、範囲条件が多いならIFSが基本になります。
範囲条件をSWITCHで無理に書くと、可読性が落ちやすいです。
SWITCHが強いケースと弱いケース
値が「東京」「大阪」「名古屋」のように完全一致で分岐するならSWITCHが合います。
コードや種別のように、固定のラベルを返したいときは特に便利です。
「以上」「未満」や複数条件の組み合わせが必要ならIFSの方が自然です。
複数条件が必要な場合は、先に補助列で分類キーを作ってSWITCHへ渡す方法もあります。
IFSを選ぶべき条件数の目安
条件が3つ以上になってIFの入れ子が読みにくいと感じたら、IFSに切り替えるのが目安です。
条件数が増えたときに、どこを直せばよいかが見えやすくなります。
ただし条件が増え続けるなら、参照表にして引く設計も検討します。
参照表方式は、仕様変更が多い分類作業で特に効果があります。
チェックリスト:公開前に確認するポイント
最後に、IFSの式を壊れにくくするための確認項目を並べます。
実際のデータで数件テストして、意図した結果になるかも確認します。
条件が重複していないか
上の条件で拾われる範囲が、下の条件の範囲と重なっていないかを確認します。
特に「以上」「未満」を混ぜたときは、境界値がどちらに入るかを明確にします。
重なる場合は、優先順位が仕様どおりになっているかを確認します。
優先順位が曖昧なら、先に業務ルールとして文章で決めてから式に反映します。
例外値(空白・0・文字列・エラー)を想定できているか
入力列に空白や文字列が入り得るかを確認します。
0が意味を持つ列なら、空白と0を同じ扱いにしないようにします。
入り得るなら、デフォルトで要確認を返すか、前処理で整形するかを決めます。
入力のゆれが頻繁に起きるなら、別列で整形してからIFSに渡す方が管理しやすいです。
「それ以外」の戻り値が業務上安全か
デフォルトを空文字にすると、未処理が見えなくなることがあります。
後工程で検出できる値を返す方が、運用上安全なことが多いです。
「要確認」のような値にしておくと、フィルタや条件付き書式で見つけやすくなります。
デフォルトを決めるときは、最終的に誰がどこで確認するかまで想像して決めます。
FAQ
よくある疑問を短く整理します。
業務でつまずきやすいポイントだけに絞って補足します。
迷ったときは、式の目的を「分類」なのか「判定」なのかで言語化すると整理しやすいです。
IFSの最後にTRUEを書くのはなぜ?
最後にTRUEを置くと、それまでの条件に当てはまらない値を必ず拾えるからです。
IFSは上から順に評価して最初に当たった結果だけを返すので、最後のTRUEはデフォルトの受け皿になります。
「それ以外」を設けないと、条件漏れのデータが混ざった瞬間に想定外の結果になりやすいです。
「それ以外」で空文字を返してもいい?
空文字は見た目がきれいですが、未処理が埋もれるリスクがあるので、用途が明確なときだけにします。
後工程で集計やフィルタをするなら、空文字より「要確認」のような検出しやすい値の方が安全です。
見た目を空にしたい場合は、表示形式や別列での表示制御で対応する選択肢もあります。
IFSで範囲条件(以上・未満)を組むときの注意は?
範囲はANDでまとめて1つの条件にするか、条件の順番が崩れない形に設計します。
範囲が重なると上の条件が勝つので、境界値がどちらに入るかを先に決めてから式に落とします。
月や点数のように連続値を扱うときは、テスト用の入力例をいくつか作って確認すると安心です。
まとめ
IFSの「それ以外」は、最後をTRUEにしてデフォルトを返す型にすると安定します。
最後にTRUEを置く設計は、条件漏れを防ぐための保険として機能します。
条件の順番は仕様そのものなので、重なりを意識して上から設計します。
優先順位を明確にしたうえで並べることで、後から見直したときも意図が読み取りやすくなります。
想定外データは必ず出る前提で、要確認に落とせるデフォルトを用意します。
デフォルト値は単なる埋め草ではなく、運用を支える重要な設計要素です。
IFとIFSとSWITCHは、範囲条件か完全一致かで選ぶと迷いが減ります。
関数選択の基準を自分なりに持っておくと、式が複雑になり過ぎるのを防げます。
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実際に手を動かしながら複数の例を試すことで、IFSの設計感覚が身につきます。