共有前に安心!Office 2016以降の「読み取り専用」設定と解除のコツ

まずは基本の設定です。読み取り専用にすると、ファイルを開いた人に「編集はしないでください」という合図を出せます。強いロックではありませんが、誤って上書きする失敗を減らせます。ここでは、Word・Excel・PowerPointで共通の流れをやさしく説明します。
手順(共通):[ファイル]→[情報]→保護メニュー→「常に読み取り専用で開く」
操作の入り口はどのアプリも同じです。[ファイル]→[情報]→(文書/ブック/プレゼンテーション)の保護 を開き、「常に読み取り専用で開く」をクリックします。設定すると次回以降、開いたときに編集前の確認が入ります。共有前に一度だけ設定しておけば、相手側でも同じ挙動になります。
[全般オプション]との関係:基本情報と一緒に整える
保存ダイアログの「ツール」→「全般オプション」では、ファイルにタイトルや作成者などの情報を付けられます。ここで付けた情報は、共有先が内容を理解する助けになります。読み取り専用の設定と同じタイミングで、タイトル・概要も整えると伝わりやすくなります。
通知あり/なしの挙動:メッセージの意味と限界
読み取り専用は「編集前に注意を出すしくみ」です。メッセージウィンドウや情報バーが表示され、ユーザーは編集するかどうかを選びます。これは「強制的に編集を止める」ものではありません。意図的に編集を選べば変更できます。したがって、機密性が高い資料では別の方法(権限設定やパスワード)も検討してください。
(Excel補足)シートを新しいブックにして共有する:[シートの移動またはコピー]
既存のブックから一部のシートだけを配るときは、Excelの「シートの移動またはコピー」を使うと安全です。共有用に必要なシートだけを新しいブックへコピーし、その新しいブックに読み取り専用を付けましょう。元データを触らずに済むので、誤操作のリスクが下がります。
(ショートカット)クイックアクセスツールバーに「読み取り専用の切替」を追加
頻繁に使うなら、クイックアクセスツールバー(画面上部の小さなボタン列)にコマンドを追加します。[ファイル]→[オプション]→[クイックアクセスツールバー]から、保護に関するコマンドを追加すると、ワンクリックでオン/オフの確認ができます。
FAQ:どこで設定すればよい?
答え:アプリの[ファイル]→[情報]にある保護メニューです。そこで「常に読み取り専用で開く」を選びます。
読み取り専用の解除
次に、解除の考え方です。読み取り専用は注意のための仕組みなので、解除自体はむずかしくありません。ただし、解除できないように見える場合は、原因が別のところにあることが多いです。ここでは典型的な場面を順に見ていきます。
アプリ内での解除:情報バーの「読み取り専用を解除」/[編集を有効にする]
ファイルを開くと、上部に情報バーが出ることがあります。ここに「読み取り専用を解除」や「編集を有効にする」と表示されます。前者はこのファイルについた読み取り専用(注意喚起)を外す動き、後者は安全確認(保護ビュー)を抜けて編集を許可する動きです。似ていますが目的が少し違います。
OneDrive/SharePointの共有権限とチェックアウトの影響
クラウドに保存したファイルは、共有の権限で編集可/閲覧のみが決まります。「閲覧のみリンク」を受け取った相手は、アプリで読み取り専用として開きます。また、チェックアウト(一時的に自分だけ編集する機能)を使っている場合、他の人は編集できず読み取り専用で開くことがあります。解除できない時は、共有リンクの種類やチェックアウト状態を確認してください。
保護ビューの確認:安全のための一時的な編集不可
インターネットから取得したファイルやメール添付は、セキュリティのために保護ビュー(安全確認のモード)で開くことがあります。この場合は、上部のボタンから編集を許可します。保護ビューは危険を減らすためのものです。出所に不安があるファイルは、内容をよく確認してから編集してください。
組織のルールで解除できないことがあります
会社や学校では、管理者のポリシーで読み取り専用や保護ビューの設定が固定されることがあります。この場合、個人の設定では変えられません。運用ルールの確認や、管理担当者への相談が必要です。
FAQ:毎回解除が必要になるのを減らすには?
答え:よく使う場所を「信頼できる場所」に登録すると、保護ビューが出にくくなります。共有設定も「編集可」の権限にすると、毎回の解除が減ります。
PowerPointの[常に読み取り専用で開く]の設定
スライドは多くの人に配ることが多く、誤上書きのリスクも高めです。PowerPointでも手順は基本同じです。共有前に読み取り専用を付けると、配布先での不意の編集を防ぎやすくなります。ここでは、使いどころと注意点をまとめます。
設定手順と使いどころ:配布資料・レビュー前に有効
手順は [ファイル]→[情報]→[プレゼンテーションの保護]→「常に読み取り専用で開く」 です。レビュー依頼や配布資料に向いています。編集してほしい人には、別途「編集可」のコピーを用意すると混乱が少なくなります。
コメント/校閲との住み分け:読み取り専用でも注釈で伝える
PowerPointにはコメント機能や校閲機能があります。読み取り専用でも、コメントで意見を集めることは可能です。編集は止めつつ、気づきや指摘はコメントで受ける、という使い分けができます。
FAQ:相手側で解除できないようにできる?
答え:読み取り専用は「強いロック」ではありません。相手が意図して解除すれば編集できます。完全に止めたい場合は、権限設定やパスワードなど別の方法を組み合わせます。
Windowsの「読み取り専用(属性)」で守る
ファイルやフォルダーのプロパティ(Windowsの基本情報)には「読み取り専用」という属性があります。これはOS側の印としての設定で、Officeの読み取り専用とは仕組みが異なります。違いを理解すると、目的に合った方法を選びやすくなります。
プロパティとは:場所・表示方法と基本の考え方
エクスプローラーでファイルを右クリックし、[プロパティ]を開きます。ここにサイズや更新日時、属性などが表示されます。属性の「読み取り専用」にチェックを入れると、そのファイルに「変更しないで」という印がつきます。
Officeの読み取り専用との違い:通知の出方・解除の場所
Windows属性は、アプリがそれをどう扱うかに左右されます。Officeの読み取り専用はアプリ内で通知が出ますが、属性は通知が出ない場合もあります。解除の場所も異なり、属性はプロパティ画面で外します。
ファイル/フォルダーでの設定と解除:注意点(フォルダー属性の挙動)
フォルダーに読み取り専用を付けても、中身のすべてが編集不可になるわけではありません。フォルダー属性は表示やレイアウトに関わる場合があり、期待どおりに働かないことがあります。確実に止めたいファイルに対して、個別に属性を設定するのが分かりやすい方法です。
FAQ:属性を付けても上書きされるのはなぜ?
答え:アプリや保存先の仕様により、属性が参考扱いになることがあるためです。アプリ内で上書きを許可すると、結果として保存できる場合があります。
方法 | 目的 | 強度 | 通知 | 設定場所 | 解除方法 | 共同編集との相性 |
---|---|---|---|---|---|---|
Officeの「常に読み取り専用で開く」 | 誤上書きの防止 | 中 | あり(情報バー等) | アプリの[情報]→保護 | 情報バー/保護メニュー | 良い(注意喚起として) |
Windowsの読み取り専用(属性) | OS側の印付け | 低〜中 | 基本なし | プロパティ | プロパティで外す | 場合による |
一時的に読み取り専用で開く | その場の安全確保 | 低 | なし | [開く]ダイアログ | 閉じれば元どおり | 良い |
「最終版として保存」 | 編集抑止の合図 | 低〜中 | あり(最終版の通知) | アプリの[情報]→保護 | 通知から再編集 | 良い(合意形成向き) |
一時的に読み取り専用で開く
設定を変えずに、その場だけ編集を止めたいときの方法です。会議で資料を開くだけの場面や、内容を確認するだけのときに便利です。相手に渡すファイルを変えないので、後からの管理も簡単です。
[開く]ダイアログの右端メニュー「開く(読み取り専用)」の使い方
[開く]ダイアログでファイルを選び、右下のプルダウン(開く▼)から「開く(読み取り専用)」を選びます。これで編集しない状態で開けます。終了すると元の設定に戻ります。
共有リンクの閲覧のみ権限:簡易に編集を止める
クラウドで共有するときは、「閲覧のみ」のリンクを作れば、相手は編集できません。編集してほしい場合は別リンクを用意する、といった使い分けができます。リンクの種類をわけるだけで、運用の迷いが減ります。
FAQ:相手に編集させたくない時は?
答え:その場だけなら「開く(読み取り専用)」、配布なら閲覧のみリンクが手軽です。長期運用なら読み取り専用や最終版の組み合わせを検討します。
「最終版として保存」で編集を控えてもらう
「最終版として保存」は、閲覧者に「これは完成版です。編集は控えてください」と伝える機能です。読み取り専用に近い効果がありますが、こちらも強制ロックではありません。合意形成やレビュー完了の合図として使うと分かりやすくなります。
最終版として保存の手順(Word/Excel/PowerPointの共通)
[ファイル]→[情報]→保護メニュー→「最終版として保存」を選びます。開いた人には最終版であることが通知され、編集しないことをおすすめします。
最終版から再編集する流れ:通知と解除のしくみ
最終版でも、必要に応じて編集に戻せます。通知に従って再編集を選ぶと、通常の編集状態になります。最終版は「合図」であり、強制ロックではない点をチームで共有しておくと混乱が減ります。
FAQ:最終版とパスワード保護/IRMの違いは?
答え:目的と強度が違います。最終版は合図、パスワードやIRMは権限で制御する方法です。機密度が高い資料は、強い方法も合わせて検討します。
(注意)本記事は一般的な操作説明です。組織の設定やバージョン差により画面や挙動が異なることがあります。安全性や権限に関わる設定は、運用ルールや管理者の案内に従ってください。