きれいに整う段組みと境界線(段の幅と間隔は水平ルーラーで細やかに調整)

長文をそのまま一列で流すと、視線の移動が大きくなり読み疲れしがちです。文書を段組みにすると読みやすさが上がり、紙面もコンパクトにまとまります。段間に境界線を入れればレイアウトの区切りが目で追いやすくなります。
段の幅や段間はダイアログで数値指定できますが、水平ルーラーをドラッグして直感的に整える方法も有効です。ここでは基本から実務で使える調整術、トラブル対応までまとめて解説します。
[ページレイアウト]タブの[段組み]
段組みを設定したい範囲を選択し、[ページレイアウト](Word 2016以降は[レイアウト])>[ページ設定]>[段組み]から段数を選びます。まずは[2段]が扱いやすい定番です。
- プリセットの[1段目を狭く][2段目を狭く]は、本文と図表の幅をずらしたいときに便利です。
- 文書全体ではなく一部だけ段組みにしたいときは、範囲選択してから段組みを適用します(選択箇所のみが対象)。
段組みの境界線を表示するには
段の中央が分かるように縦線(境界線)を表示できます。印刷にも反映されるため、配布資料の見通しが良くなります。
- [段組み]>[段組みの詳細設定]を開く。
- [境界線を引く]にチェックを入れて[OK]。
- 段数は「1~45」で指定可能。新聞風にしたいときは3~4段が目安です。
注意:境界線は印刷もされます。編集時だけ目印にしたい場合は、出力前にオフへ戻してください。
白紙の中央に線を入れたい場合
文書を段組みにせず「中央に縦線だけ欲しい」なら、簡易手順で実現できます。
- 空の文書で[Enter]を数回押して段落を作る(2段目にカーソルが移るまで)。
- [段組みの詳細設定]で[境界線を引く]をオン。
- 横向きにしたいときは[ページ設定]>[印刷の向き]で[横]を選択。
段の幅と間隔は水平ルーラーで調整
数値入力より手早く整えたいときは、ルーラー操作が便利です。紙面を見ながら“ちょうど良い”幅に追い込めます。
水平ルーラーで調整
- ルーラー上の区切りマーカーをドラッグして段幅・段間を変更。
- Word 2013以降:[段の幅をすべて同じにする]がオンのときにドラッグ可。Word 2010はオフでも調整可能。
- ルーラーが非表示なら[表示]>[ルーラー]をオン。
ダイアログで精密に設定
- [段の幅と間隔]で左右の段幅・段間をミリ単位で指定。
- [最終段を均等にする]をオンにすると、文末で段の高さを自動調整して“片寄り”を軽減できます。
段区切りとページ区切りの違い
段組み中に任意の位置で次の段に送るには「段区切り」を使います。ページを変えずに段だけ切り替わる点がポイントです。
ショートカット
- 段区切りの挿入:[Ctrl]+[Shift]+[Enter]
- 改ページ(ページ区切り):[Ctrl]+[Enter]
- 段組みの詳細設定をすぐ開きたいときは、段組みメニューの最下段(詳細設定)を覚えておくと時短になります。
セクションを対象に設定
同じ文書内で「ここだけ二段、次のページは一段」といった切り替えをするなら、セクション区切りが必須です。見出し前後に「連続するセクション区切り」を入れると、ページをまたがずに段数だけ変更できます。
“段抜き見出し”を作る裏ワザ
- 見出しの前に連続セクション区切りを挿入。
- 見出しだけ「1段」に設定(次の段落に入る前に再度セクション区切り)。
- 見出しが段をまたいで紙面幅いっぱいに表示され、本文は二段のまま流せます。
縦書きの段組み
縦書きでも操作は同じです。段の流れは右→左になります。境界線を入れるとレイアウトの分割がより明確になります。
注意:Wordのテキストボックスは段組み非対応です。段風に見せるには、テキストボックス同士をリンクさせて文字を流し込む方法が代替になります。PowerPointやExcelのテキストボックスは段組みに対応しています。
図表・脚注との相性
段組み文書は図表や注記の置き方で読みやすさが大きく変わります。次のポイントを押さえましょう。
画像や表の回り込み設定
- 挿入直後は「行内」のことが多く、段幅からはみ出す場合があります。[文字列の折り返し]で[四角]や[外周]にし、段内で収めるのが基本です。
- 見出し直下に幅広の表や図を置きたいときは、前述の“段抜き”テクニック(連続セクション+1段)を使うと美しく配置できます。
脚注・文末脚注の挙動
- 脚注は原則、段ごとに下部へ配置されます。脚注が多いページで段が極端に短くなる場合は、脚注の書式や段数の見直しを検討します。
- 脚注番号と本文の距離が詰まると読みにくくなるため、段間をやや広げると読み心地が改善します。
よくあるトラブルと解決策
境界線が出ない・印刷されない
- 表示されない:カーソルが2段目にあるか確認。ドラフト表示では見えにくいことがあるため、印刷レイアウト表示で確認。
- 印刷したくない:編集時のみオンにし、印刷前にオフへ切替。
ルーラーが表示されない
- [表示]タブの[ルーラー]をオン。表示を切り替えても出ない場合は、ウィンドウ幅が狭く隠れている可能性があるため最大化して再確認。
最後の段だけ短い(段バランスが悪い)
- [段組みの詳細設定]で[最終段を均等にする]をオン。
- 段落の[行取り/行送り(段落の改ページと改行の制御)]が影響する場合は、見出しの「段落前で改ページ」や本文の「段落を分割しない」を必要最小限にします。
段を解除したい/一時的に1段へ戻したい
- 文書全体を一段に戻す:全選択([Ctrl]+[A])>[段組み]>[1段]。
- 一部だけ戻す:対象範囲を選択して[1段]。セクション区切りで切り分けておくと安全です。
仕上げのチェックリスト
- 段幅・段間は読みやすいか(段間は本文の字幅の1~1.5字程度が目安)。
- 境界線の太さ・有無は目的に合っているか(配布資料は細線がおすすめ)。
- 見出し・図表が段からはみ出していないか、回り込みが適切か。
- 最後の段の高さが大きく崩れていないか(均等化の設定を検討)。
- 印刷プレビューでページ割り・改ページ位置を確認したか。
段組みは「読みやすさ」と「情報量」の両立に直結します。基本の設定に加え、ルーラー調整・段区切り・セクション区切りを使い分ければ、プロらしい紙面を安定して作れるようになります。