画像から住所や顔を守るには?公開前にチェックしたいポイントまとめ
このページで伝えたいことと、知っておいてほしい注意点
写真をネットに出すことは、今ではとても当たり前になりました。旅行の思い出、子どもの成長、仕事の活動報告など、写真があると、できごとを身近に感じてもらえます。一方で、写真には、自分では意識していない個人情報が写っていることがあります。
ここでいう個人情報とは、自分や家族の名前、住所、学校名、会社名、顔がはっきりわかる画像などのことです。これらは、見る人が限られている場なら問題になりにくいこともありますが、誰でも見られる場所に出すときは注意が必要です。
このページでは、写真の中に「目で見てわかる情報」にしぼって、どこを気をつければよいかを整理します。玄関や窓の外の景色、服や名札、パソコン画面や紙の資料など、身近な例を使いながら、チェックするポイントをやさしく説明します。
また、画像には、見た目にはわからない「メタデータ」という情報が入っていることもあります。撮影した日付や使ったカメラ、場合によっては場所の情報が含まれていることもあります。このページではメタデータのくわしい説明はしませんが、「画像ファイルの中の情報」も別に存在している、ということだけは覚えておくと安心です。
大切なのは、「写真を全部やめること」ではなく、「出す前に少し立ち止まって、必要な一歩を踏むこと」です。こわい話をしたいわけではなく、知っていれば選びやすくなる、という内容をめざします。
Q. 写真をネットに出すのは、もう全部やめた方がいいですか?
「すべての写真を出してはいけない」というわけではありません。公開先や公開範囲、写っている内容をよく考えたうえで、自分たちで決めることが大切です。
たとえば、身内だけのグループで見るアルバムと、誰でも見られるSNSでは、気をつけたいポイントが変わります。また、家の中でも、住所につながる場所や、顔や名前がはっきり写っている写真は、もう一度よく見直した方が安心です。
このページでは、「どこを見て判断すればよいか」を整理していきます。全部を完璧に守ることよりも、「いつもより一つだけチェックする場所を増やす」という気持ちで読んでみてください。
写真から住所がわかってしまう代表的なケース
まずは、写真から住所や場所がわかってしまう、よくあるパターンを見てみます。少し意識するだけで、事前に気づけることがたくさんあります。
よくある例として、次のようなものがあります。
- 玄関のドアや表札が大きく写っている写真
- ポストに貼ってある名前や部屋番号がはっきり見える写真
- 窓の外に、近所の目立つ建物や看板が写っている写真
- 宅配便の荷物や封筒に貼られた、住所ラベルが見える写真
- 引っ越し先の部屋を紹介するときに、建物の外観や周りの風景を広く写した写真
これらは、一つだけなら大きな問題にならないように見えるかもしれません。しかし、複数の写真や、すでに知られている情報と組み合わせることで、ある程度の場所を推測できてしまうことがあります。
たとえば、引っ越し報告の投稿で、次のような情報が重なるケースを考えてみます。
- 「〇〇市に引っ越しました」と書いたテキスト
- マンションの外観が写った写真
- バルコニーから見える、特徴的な建物や看板
このような情報がそろうと、土地勘のある人や、地図アプリに慣れた人であれば、場所を絞り込めてしまう可能性があります。
また、宅配便の荷物や郵便物の写真にも注意が必要です。荷物が届いた喜びをシェアしたくて撮った写真に、送り先の住所ラベルがそのまま写ってしまうことがあります。部屋の様子を撮りながら、うっかり郵便物がテーブルの上に置きっぱなしになっていることもあります。
さらに、画像ファイルの中には、メタデータと呼ばれる情報が含まれていることがあります。メタデータには、撮影した日付やカメラの情報だけでなく、撮影場所の情報が入っていることもあります。見た目にはわからなくても、専用のソフトやアプリを使えば読み取れる場合があります。
メタデータについて、くわしい削除方法を知りたい場合は、画像のメタデータをテーマにした別の解説ページを参考にするのも一つの方法です。ここでは、「写真の見た目」と「画像ファイルの中の情報」は別物であり、どちらにも気を配る必要がある、ということだけ覚えておきましょう。
Q. 一度ネットに出した写真を削除すれば、もう見られませんか?
自分のアカウントから写真を削除しても、すべての場所から完全に消えるとは限りません。たとえば、ほかの人が保存していたり、別のサービスにコピーされていたりする可能性があります。
もちろん、「気づいた時点で削除する」ことは大切です。ただし、「一度もとに戻せない場所に出す前に、よく確認する」という意識を持っておくと、後から慌てる場面を減らせます。
このページの後半では、投稿前のチェックリストを紹介します。できる範囲でかまわないので、自分なりにチェックするポイントを決めておくと安心です。
投稿前チェックリスト① 家や周りの景色を確認する
ここからは、投稿前に確認したいポイントを、チェックリストの形で見ていきます。まずは、「家や周りの景色」に関する部分です。
家の外観や周りの風景が写った写真は、思い出として残したい場面が多い一方で、住所に直結しやすい情報も多く含んでいます。次のような順番で、写真の中を見直してみてください。
- 1. 写真全体をざっくり見る
- 2. 玄関まわりに注目する
- 3. 窓の外やベランダの外側を見る
- 4. 看板や特徴的な建物が写っていないかを見る
まずは、写真全体を一度引いて眺めます。この時点で、「ここを見てほしくない」という部分が大きく写っていないか、感覚的にチェックしてみましょう。
次に、玄関やドアの周りをよく見ます。表札に名前が出ている家や、ポストに部屋番号や名前が書かれている集合住宅では、その部分がはっきり写っていないかを確認します。もし大きく写っているなら、別の角度から撮り直すか、玄関そのものを写さない構図に変える方法があります。
窓の外やベランダからの景色も、住所につながるヒントになりやすい部分です。とくに、高い建物から周りの景色を広く写すと、「どの方角に何が見えるか」がわかりやすくなります。近くに大きな目印になる建物や、公園、看板などが写っていないかを見てみましょう。
最後に、遠くの看板や建物にも目を向けます。文字が読めるほどでなくても、「この組み合わせならあのあたりかもしれない」と分かる人もいます。少し不安に感じる場合は、その写真をそのまま公開するかどうかを、いったん立ち止まって考えてみるとよいでしょう。
Q. 風景だけの写真なら、住所はバレないと思っていいですか?
風景だけの写真だからといって、必ずしも住所がわからないとは限りません。とくに、特徴的な建物や看板、山や海などの地形が組み合わさると、場所を推測しやすくなることがあります。
観光地や有名な場所であれば、多くの人が「どこか」を知っている前提で写真を出すこともあるでしょう。その場合でも、「自宅のすぐ近く」や「生活圏が特定されやすい場所」など、知られたくない範囲にあたる場所かどうかは、一度意識してみると安心です。
投稿前チェックリスト② 顔・服・名札など人に関する情報を見る
次に、人に関する情報を確認します。顔、服、名札、社員証、イベントのゼッケンなどは、「誰なのか」「どこに所属しているのか」がわかる手がかりになります。
まず、自分や家族の顔がはっきり写っているかどうかを見ます。笑顔の写真を共有したい気持ちは自然なものですが、誰でも見られる場所に出すときは、次のような点を考えてみてください。
- 顔が大きく写っているか、小さく写っているか
- 何度も同じ人が写っていて、顔が覚えられやすくなっていないか
- 学校名や会社名とあわせて出していないか
子どもの写真では、制服や体操服、名札などに注意が必要です。学校名や園の名前、クラス名などが読めると、生活する場所がある程度わかってしまいます。必要に応じて、名札を外して撮る、制服ではなく私服の写真を使うなどの工夫が考えられます。
仕事の場面では、社員証や名札、作業服に会社名や部署名が書かれていることがあります。社内のイベントや勉強会で撮った写真を外部に出すときは、そのまま写すのではなく、見せてよい範囲かどうかをチームで確認しておくと安心です。
また、一緒に写っている友だちや同僚、たまたま写り込んだ通行人にも配慮が必要です。明らかに個人が特定できるような写真の場合は、相手の希望を聞く、顔を隠す、別の写真を選ぶといった選択肢も考えましょう。
Q. 友だちが写った写真をSNSに上げてもいいですか?
友だちが写った写真を出してよいかどうかは、その友だち本人の考え方によって変わります。なかには、顔が写る写真をインターネットに出されたくない人もいます。
できれば、写真を公開する前に、「この写真をSNSに出しても大丈夫?」と一言たずねるのが安心です。大勢の写真で一人ずつ確認するのがむずかしい場合は、顔がはっきりわかる写真は避ける、後ろ姿や遠くからの写真を選ぶなどの方法もあります。
投稿前チェックリスト③ 画面・紙・小物に写った細かい情報を見直す
最後に、パソコンやスマホの画面、紙の資料、小物に書かれた文字など、細かい情報に目を向けます。これらは、写真を撮っている本人にとっては見慣れたものなので、写っていることに気づきにくい部分です。
たとえば、次のような場面が考えられます。
- パソコンでオンライン会議をしている様子を撮った写真
- 発表資料が映っているスクリーンの写真
- 会議室のホワイトボードや、進行メモの紙が写った写真
- デスクの上に置いてある名刺や社員証が写り込んだ写真
これらには、会議の内容、参加者の名前、プロジェクト名、会社名、メールアドレスなど、多くの情報が含まれていることがあります。文字が小さくても、拡大すると読めてしまう場合もあります。
写真を確認するときは、「文字が写っている場所はないか」という視点で見直します。画面や紙の部分を拡大して、読まれたくない情報がないかをチェックしてみてください。
また、名刺や社員証などは、一見すると小さくて読めなさそうに見えても、光の当たり方や拡大のしかたによっては、名前や会社名がわかってしまうことがあります。必要に応じて、裏向きにする、別の場所に置き直すなどしてから撮影すると安心です。
Q. ぼかしを入れれば、会社の会議資料を写しても大丈夫ですか?
ぼかしやモザイクを使うと、文字や顔を見えにくくすることができます。ただし、どの程度かけるかによっては、近くで見ると読めてしまう場合もあります。また、どこまで隠せば十分かは、状況によって変わります。
会社の会議資料など、機密性の高い情報が含まれている場合は、「一部だけ隠せばよい」とは限りません。どの程度まで見せてよいかは、社内のルールや担当者の判断に従う必要があります。迷うときは、そもそも資料や画面を写さない構図にする、資料が写らないタイミングで撮影する、といった方法も検討しましょう。
かんたんにできる「隠す」「切り取る」「撮り直す」のコツ
ここまで見てきたように、写真にはさまざまな情報が写り込む可能性があります。ここでは、そうした情報を減らすための、かんたんな方法をまとめます。
大きく分けると、次のような方法があります。
- トリミング:いらない部分を切り取る
- モザイク・ぼかし:見せたくない部分を見えにくくする
- スタンプ:スタンプ画像で上からふさぐ
- 撮り直し:構図や角度を変えて撮り直す
トリミングは、写真の四辺を内側に切り取ることで、写っている範囲を小さくする方法です。たとえば、玄関の表札だけが端に少し写っている場合、その部分が外側に来るように切り取れば、表札を写さずに済むことがあります。
モザイクやぼかしは、文字や顔など、特定の部分を見えにくくする方法です。多くの画像編集アプリには、指定した部分だけをぼかしたり、四角いモザイクを重ねたりする機能があります。名前や住所、顔などを部分的に隠したいときに使いやすい方法です。
スタンプは、スタンプ画像や図形を上から重ねることで、見せたくない部分を隠す方法です。かわいいスタンプで隠せば、見た目も明るく保ちながら、大事な情報を見えなくできます。
撮り直しは、元の写真を加工するのではなく、そもそも写したくないものが入らないように、構図や角度を変えて撮影しなおす方法です。たとえば、玄関の表札を写さない位置に立つ、窓の外が入らない向きに変える、資料が映っていないタイミングで撮るなどです。
これらの方法には、それぞれ向いている場面や注意点があります。イメージをつかみやすくするために、簡単な比較表にまとめると次のようになります。
| 方法 | 向いているケース | 注意したい点 |
|---|---|---|
| トリミング | 写真の端に少しだけ写っているものを消したいとき | 切り取りすぎると伝えたい部分も消えてしまう |
| モザイク・ぼかし | 名前や住所、顔などを部分的に隠したいとき | かけ方が弱いと近くで見ると読めてしまう |
| スタンプ | 見せたくない場所を楽しく隠したいとき | 元の情報が完全には見えないように配置する |
| 撮り直し | そもそも写したくないものが多いとき | もう一度撮る手間がかかるが、安全性は高い |
また、画像ファイルの中には、先ほど触れたメタデータが入っていることがあります。見た目だけでなく、ファイルの中の情報にも気を配りたい場合は、メタデータの扱いについて説明している別の解説ページを参考にしながら、必要に応じて専用のツールで削除する方法を検討してもよいでしょう。
Q. どのくらい隠せば、顔や文字がわからなくなりますか?
どの程度隠せば十分かは、写真の大きさや見る人の環境によっても変わります。スマートフォンの小さな画面では読めなくても、パソコンで拡大すると読めてしまうこともあります。
モザイクやぼかしを使うときは、「自分の端末で少し拡大しても読めないか」「他の人の画面サイズでも見えにくそうか」を確認してみるとよいでしょう。それでも不安なときは、その部分を切り取る、もしくは写真そのものを公開しないという選択肢も考えられます。
家族やチームで「写真の出し方ルール」を決めておく
個人で気をつけることに加えて、家族やチームで「写真の出し方のルール」を話し合っておくと、あとからトラブルになりにくくなります。
家庭の中では、次のようなことを話題にしてみるとよいでしょう。
- 子どもの顔を、どの範囲までネットに出すか
- 制服やランドセルなど、学校や園がわかる写真をどう扱うか
- 自宅の外観や近所の風景を出すかどうか
- 親せきや友だちが写っている写真を出すときの一言の声かけ
このような話題を通じて、「これはやめておこう」「これは大丈夫そうだね」といった目安を共有できます。完全な正解を決める必要はなく、「迷ったときに相談できる」雰囲気があるだけでも安心感が高まります。
仕事の場では、社内やチームで、次のような点についてルールを話し合うことが考えられます。
- 社員の顔出しが必要な場面と、そうでない場面
- 社内の画面や資料を撮影してよい場面と、そうでない場面
- 社外に出す写真を、誰が最終確認するか
これらのルールは、厚い文書にまとめる必要はありません。簡単なメモや共有ノートに、「基本的な考え方」を書いておくだけでも役に立ちます。
Q. 子どもには、どこまで説明すればいいでしょうか?
子どもに説明するときは、むずかしい言葉を使わず、「知らない人にも見られるかもしれない」という点を中心に伝えるとよいでしょう。
たとえば、「この写真を出すと、学校やお家の場所がわかってしまうかもしれないから、この写真は家族だけで見ようね」といったように、具体的な例を使って話す方法があります。年齢に合わせて、子どもがわかる範囲で少しずつ伝えていくのがおすすめです。
今日からできることのまとめと、よくある質問ミニQ&A
最後に、このページの内容をかんたんに振り返りながら、今日からできる行動を整理します。
写真をネットに出すときに、特にチェックしたいポイントは、次の三つです。
- 家や周りの景色から、住所や生活の場所がわからないか
- 顔や服、名札などから、誰なのか、どこに所属しているのかが分かりすぎないか
- 画面や紙、小物に書かれた細かい文字から、見せたくない情報が読めないか
全部を一度に完璧にする必要はありません。まずは、「投稿前に一度だけ写真を見直す」「迷ったら出さない」「心配なときは家族やチームに相談する」という三つを意識するだけでも、大きな違いがあります。
ここからは、よくありそうな質問を、いくつか短いQ&Aの形でまとめます。
Q. 加工アプリでかわいくしていれば、危険は少ないですか?
加工アプリで色を変えたり、装飾をつけたりしても、写っている情報そのものが減るとは限りません。住所ラベルや名札、画面の文字などは、そのまま残っていることが多いです。
かわいく加工する前に、「見せたくないものが写っていないか」を一度確認しておくと安心です。必要に応じて、先ほど紹介したトリミングやぼかし、スタンプなどを組み合わせて、見せる範囲を調整しましょう。
Q. 写真の公開範囲を「友だちだけ」にしておけば安心ですか?
公開範囲を「友だちだけ」や「限定公開」にすると、不特定多数の人から見られる可能性は減ります。ただし、設定が変わったり、友だちが画像を保存して別の場所に出したりする可能性はゼロではありません。
公開範囲の設定は、あくまで「リスクを減らすための一つの手段」と考え、写っている内容そのものについても、必要な範囲で見直しておくと安心です。
Q. 過去に上げた写真が心配なとき、まず何から始めればいいですか?
過去の写真が気になるときは、すべてを一度に見直そうとすると大変です。まずは、「自宅まわりが写っている写真」「子どもの顔や制服がはっきり写っている写真」など、気になるカテゴリを一つ決めて、そこから少しずつ確認していく方法があります。
必要に応じて、削除する、公開範囲を変える、画像を差し替えるなどの対応をとることができます。一人で抱え込まず、家族や信頼できる人と相談しながら進めていくのもよいでしょう。
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